ドローンでFPVをするために! 第3級陸上特殊無線技士の国試合格を目指そう。
2021年10月期・工学問題解説
試験問題の番号ごとに、説明をしていきます。
〔13〕 図に示す電気回路の抵抗Rの値の大きさを3倍にすると、Rによって消費される電力は何倍になるか。
正答: 2
ポイント: オームの法則から考えてみよう!
V=R I 電圧は、抵抗値に電流を掛けた値となります。
変形すると R=V/I I=V/R となります。
V=電圧(v:ボルト) I=電流(A:アンペア) R=抵抗値(Ω:オーム)
次に・・ 電力をW(ワット)とすると、電力を求める式は次のようになります。
下段の式からもわかるように、抵抗値 R の値が大きくなれば 電力 W や電流 I の値は小さくなるわけです。
抵抗値が3倍になったため、消費電力は 3分の1 になる訳です。
〔14〕 次の記述の □ 内に入れるべき字句の組み合わせで、正しいのはどれか。
正答: 3
ポイント: この現象は、半導体の性質を知らなければならないので、これはこのように覚えておきましょう。
〔15〕 図は、三素子 八木・宇田アンテナ(八木アンテナ)の構成を示したものである。 各素子の名称の組み合わせで正しいのはどれか。ただし、A、B、Cの長さは、A<B<C の関係があるものとする。
正答: 1
ポイント: 図のアンテナは、3エレメントの ” 八木アンテナ ” で各々の長さに違いがあります。
一番長いエレメントが電波を反射させ(反射器)、一番短いエレメントは前方にビームを集めます(導波器)。真ん中のエレメントが電波を発射する放射器となります。
このように電波を特定の方向に集中させることを ” 指向性 ” と言います。
指向性を上げるために、導波器の数を増やしたり反射器を2段3段と重ねたりすることもあります。
テレビのアンテナを見てみると、やたらとエレメントの数が多いことがわかります。 受信感度を少しでも大きくするためです。
〔16〕 超短波(VHF)帯では、一般にアンテナの高さを高くした方が電波の到達距離が延びるのはなぜか。
1. 見通し距離がのびるから。
2. 地表波の減衰が少なくなるから。
3. 対流圏散乱波が伝わりやすくなるから。
4. スポラディックE層(Es層)の反射によって伝わりやすくなるから。
正答: 1
ポイント: HF(短波帯)やVHF(超短波帯)やそれ以上の 高い周波数の電波は直進性が高くなり、電離層なども突き抜けてしまい地上には返ってきません。
また、電波の発射方向に障害物などがあると極端に減衰してしまいます。
従って到達距離を伸ばしたいときは、電波の発射方向の障害物がなるべく少なく見通し距離が長い方がより遠方まで到達します。
陸上無線設備では、山の頂上や斜面などに中継所を設けて山合いの地域や遠方まで電波が到達できるように工夫されています。
〔17〕 蓄電池の アンペア時(Ah)は、何を表すか。
1. 定格電流
2. 起電力
3. 内部抵抗
4. 容量
正答: 4
ポイント: Ahは、アンペアアワーと読みます。
アンペア時ともいい、電荷の単位です。安定した1アンペア(A)の電流を1時間流れた時に移動する電荷量と定義されています。 何やら面倒草そうですね。
因みに、単3形の乾電池の容量は約2~3Ahです。 電圧は、1.5Vですね。
車のバッテリーの容量は 、車種大きさでずいぶん違いますが、50Aを超えるものもあります。
間違えてはいけないのが、Ah(アンペアアワー)とWh(ワットアワー)です。
Ahは、電流と時間の積であり、 Wh は消費電力と時間の積となります。
Ahは、取り出す電流の大きさ(A)と使用時間を定義します。
Wh は、「使用する消費電力(W)」でその電池の使用時間が決まります。
〔18〕 アナログ方式の回路計(テスター)のゼロ調整つまみは、何を測定する時に必要となるか。
1. 静電容量
2. 抵抗
3. 電流
4. 電圧
正答: 2
ポイント: ゼロオーム調整とは、テスターの赤と黒のテスト端子をショートさせて指針がゼロオームを正しく示すかを調整するものです。
この調整が正確でないと、抵抗測定時に指針が示す値が正しい数値を指す事ができません。
調整は、本体についたダイヤル又はつまみによって行います。
デジタルテスターの場合は、ゼロリセットボタンを押すとゼロオームに設定されますが、自動調整のものが多いですね。
〔19〕 振幅変調(A3E)波と比べた時の周波数変調(F3E)波の占有周波数帯幅の一般的な特徴は、次のうちどれか。
1. 同じ
2. 広い
3. 狭い
4. 半分
正答: 2
ポイント: 振幅変調(A3E)は、入力された信号の振幅に応じて キャリアとなる高周波の振幅を変化させるものなので、キャリア周波数に応じた帯域があればよいのです。
一方周波数変調(F3E)は、入力された信号の振幅に応じてキャリアとなる高周波の周波数を変化させるものです。 よって、入力信号の振幅が高いほど、より高い周波数を必要とします。
より高い周波数を必要とするため、帯域幅を大きくとる必要があります。
AM放送に比べて、FM放送が使用周波数帯が高いのはこのためです。
〔20〕 次の記述は、アナログ通信方式と比べた時のデジタル通信方式の一般的な特徴について述べたものである。誤っているものをしたの番号から選べ。
1. 雑音の影響を受けにくい
2. ネットワークやコンピュータとの親和性がよい。
3. 信号処理による遅延がない。
4. 受信側で誤り訂正を行うことができる。
正答: 3
ポイント: これは逆ですね。 デジタル回路では、アナログ信号をデジタル信号に変換したりデジタル信号をアナログ信号に戻したりと、余計な手間がかかる分処理時間は長くなります。
1,2,4 番は、デジタルのメリットですね。
〔21〕 次の記述は、デジタル変調について述べたものである。 □ 内に入れるべき字句は次のうちどれか。
FSKは、ベースバンド信号に応じて搬送波の周波数を切り替える方式である。また、4値FSKは、1回の変調(シンボル)で □ ビットの情報を伝送できる。
1. 2
2. 3
3. 4
4. 5
正答: 1
ポイント: FSK は、周波数変換式変調方式(Frequency shift keying) – デジタル変調の一つです。
通常のFSKはデジタルデータの0と1をそれぞれ、- f と +f に変化させますが、
4値の場合は、00・01・10・11をそれぞれ、- f ・ – f/3 ・+f / 3 ・ +fに変化(割り当て)させます。
00から11までは、”2ビット”で表されますよね。
キャリアの周波数を、fc とすると、
FSKの場合は
0:fc-f
1:fc+f
一方、4値 FSKは、
00:fc – f
01:fc – f / 3
10:fc + f / 3
11:fc + f
となり、同じ帯域の場合には、倍の情報量が送れることになります。
たとえば、NRZの場合”00 00 00 00” 及び ”11 11 11 11”の各8ビットを送る場合は、FSKでも 4値 FSKでも差がありません。
㊟ NRZ とは(No-Return-Zero)の略で、00や11のように同じ信号が連続するときは信号の変化(Lo-Hi)がなく同じ信号レベルが続きます。
ところが、”01 01 01 01” の様な8ビットを送る場合を考えますと、
FSKでは、fc – f /fc + f , fc – f / fc + f , fc – f / fc + f , fc – f / fc + f となります。
4値 FSKだと fc -f / 3 , fc – f / 3 , fc – f / 3 , fc – f / 3 で済み、4値 FSKの方が、明らかに効率が良いことが分かります。
このような問題は滅多に出題されることはありません。 どちらかというと2級陸特の出題範囲になりますので、まあそういうものだというくらいに覚えておく程度で大丈夫です。
〔22〕 図は、デジタル無線受信装置の概念図例を示したものである。□ 内に入れるべき字句をしたの番号から選べ。
1. 周波数変換器
2. IDC回路
3. AFC回路
4. D/A変換器
正答: 4
ポイント: デジタル復調されたデジタル信号をアナログ信号に戻す回路の事を、D / A 変換器といい、アナログ信号をデジタル信号に変換するものを A / D 変換器と言います。
周波数変換器は、スーパーヘテロダイン受信機などで使われている方式で、 受信した信号は全て局部発振器で生成された波形と混合器で混合される。使用者は局部発振器の発振周波数を調整することで選局します。 混合器では、局部発振信号と受信信号群が混合され、変換された信号のうち、中間周波のみが増幅・復調され、元の音声信号に戻されます。
IDC回路は、 FMまたはPM変調において,変調のピークで瞬時的に規定のデビエーションを越えないようピークを制限する回路.これによって隣接チャネルへの妨害を抑えて平均変調度を上げることができる.
AFC回路は、自動周波数制御(じどうしゅうはすうせいぎょ)は、受信周波数を安定にするための電子回路で、 受信周波数と放送周波数のずれをフィードバックして、自動的に放送周波数に合わせる回路です 。英語のAutomatic-frequency -control の頭文字をとってAFCと略される。
〔23〕 スーパーヘテロダイン受信機の周波数変換部の働きは、次のうちどれか。
1. 受信周波数を中間周波数に変える。
2. 中間周波数を音声周波数に変える。
3. 音声周波数を中間周波数に変える。
4. 受信周波数を音声周波数に変える。
正答: 1
ポイント: 問題22の周波数変換器の説明ですね。
〔24〕 FM(F3E)送受信機において、電波が発射されるのは次のうちどれか。
1. 電源スイッチを接(ON)にしたとき。
2. プレストークボタンを押したとき。
3. スケルチを動作させたとき。
4. プレストークボタンを離したとき。
正答: 2
ポイント: プレストークボタンは、自分が通話送信するときに押すマイクに取り付けられているボタンの事です。
プッシュ・トゥ・トーク (PTT : Push to Talk) は、送信ボタンを押している時に音声送信状態となる、音声通話の方式である。プレストーク(Press Talk)、単信通信などと呼ばれています。 プレストークボタンを押して音声入力(入力信号)が発生した時にキャリア信号が変調器に加えられ周波数変調・送出されるためです。
因みにスケルチとは、無線機器などが、無信号時にスピーカから出力される雑音(ノイズ)や、交信する必要のない相手方の送信する音声を遮断し、無音状態にするための機能です。 FM放送がAM放送に比べてノイズが少ないのはこのためです。
毎年2月・6月・10月と3回行われる試験ですから、焦らず慌てずじっくりと取り組んでみてください。
出題されるのは過去問題の数値や言い回しを少し変えただけの問題が多く、大体5~6年でローテーションしているようです。
ひたすら過去問題を解いてみることが、合格への一番の近道だと思います。
頑張ってください!
では、良いお年を!
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