計算問題で悩んでいるあなた、計算問題なんてもう怖くない。(3陸特と共通)
オームの法則ってなんだ
「V」はボルトと読み、電圧( E )の単位です。電気を流そうとする力の強さになります。水道で例えると、水圧つまり流れようとする力ですね。
「Ω」はオーム読み、抵抗( R )の単位です。 電流の流れを妨げようとする力抵抗です。ゴムやガラスなどの不導体は電気抵抗が極端に大きく、電気を通しません。電気を通しやすいものを、導体 と言います。
因みに、特定の条件がそろうと電気が流れるものを、半導体 といいます。
「A」はアンペアと読み、電流( I )の単位です。 水道で例えると、水量つまり流れている量ですね。まあ、水道管の太さといったところです。
これら、3つの要素(電圧・電流・抵抗:VとAとΩ)の相互の関係を表したのが、オームの法則です。
電流 I (A) = 電圧 E (V) ÷ 抵抗 R ( Ω ) を基本にして
この式を変形することで、
E (V) = I (A) × R ( Ω )
R ( Ω ) = E (V) ÷ I (A)
となり、それぞれの値を計算することができます。
わかりやすく、絵にかいてみます。
この三角形を覚えておけば、計算方法が一目でわかります。
例 電流 I(A)を求めたいなら、右横の赤丸つまり E/R というわけです。
まずは、これを頭に入れておきます。
直列と並列回路の違い
直列接続
これは、抵抗などの負荷を、直列(直線的につなぐ)に接続する回路です。
この場合、
図のように、回路全体に流れる電流を I [A] 、回路全体の電圧をV [V] 、R1 [Ω] の抵抗の両端に発生する電圧を V1 [v] 、R2 [Ω] の抵抗 の両端に発生する電圧を V2 [V] 、回路全体の合成抵抗を R [Ω] とすると、
合成抵抗は、R = R1 + R2 ( Rの値は、R1やR2よりも高くなる、当然ですよね)
単純に両方の抵抗値の加算で表せるのです。
そして
抵抗は直線的につながっていますので、R1、R2それぞれ同じように電流 I(A)が流れます。
ここで、オームの法則で考えると
R1を流れる電流が I(A) であることから、R1の両端に発生する電圧 V1(v) は
V1(v)= I (A) × R1 ( Ω ) となります。
同じように、 R2の両端に発生する電圧 V2(v) は
V2(v)= I (A) × R2 ( Ω ) となります。
回路全体の電圧が V [v] ですから、R1とR2にはその抵抗値に応じた電圧があらわれ、その電圧値の合成が V⒱ となるのです。
つまり、
V = V1 + V2 となり、
回路全体の電圧 V [v] が、それぞれの抵抗によって 「分圧」 されたことになるのです、。
直流電源を表す記号です。 左の長い線がプラス側、右の短い線がマイナス側となります。
並列接続
これは、抵抗などの負荷を、並列(横並びにつなぐ)に接続する回路です。
ご覧の通り、電流 I は、R1側のラインと R2側のラインに分かれていきます。
水道管に例えるなら、1本のパイプの水が2本のパイプに分かれてしまうのです。
図のように、回路全体に流れる電流を I [A] 、回路全体の電圧を V [V] 、R1 [Ω] の抵抗に流れる電流を I1 [A] 、R2 [Ω] の抵抗に流れる電流を I2 [A] 、全体の合成抵抗を R [Ω] とすると
結論から言いますと、
R1とR2の並列合成抵抗は、
合成抵抗Rではなく、1/R となっていますので、さらにRへと計算しなおす必要があります。
ちょっとわかりにくいですね、わかりやすく変形すると、
上の式で求めることができます。 ただし・・・
抵抗が2本までの並列回路の場合のみで、3本の並列接続がある場合は
もっと多い場合は、
この式を変形すると、
(これもRではなく 1/Rであることに注意です。 nは接続する抵抗の数)
となります。 なんか 結構面倒ですね。
そしてその合成抵抗は、接続されているどの抵抗値よりも 低い値となります。
例えば、5Ωの抵抗器、1本なら5Ω、2本なら2分の1の2.5Ω、3本なら3分の1の約1.67Ω、4本なら4分の1の1.25Ω、10本なら10分の1の0.5Ω が合成抵抗となっていきます。
また、1Ωと2Ωと3Ωの3本並列の場合の合成抵抗は、約0.55Ωとなります。抵抗値は低くなっていますね。
なぜこんなことになるのでしょうか。
電源電圧V(v)と各抵抗器の固有抵抗値は常に一定で変わることはありません。
回路全体を流れる合成電流Iは、すべての抵抗(負荷)に流れる電流の合成であることから、供給できる電流値には限界(電源ユニットの定格など)もあり、枝分かれが多ければ多いほど、1つのラインに流れる(分配される)電流の値はどんどん少なくなっていきます。(無限に電流を供給できるわけではない)
ここで、オームの法則から考えてみます。
上の並列回路で、R1とR2はともに電源電圧V(v)がかかっています。
それぞれの抵抗に流れる電流 I1 と I2 は・・・
I1(A)=V(v)/R1 で求められます。 同様に・・・
I2(A)=V(v)/R2
となります。
R1とR2の並列合成抵抗を一つの大きな負荷(抵抗)として考えて行くと、回路全体を流れる電流I(A)は、I1とI2の合成となりますから、
I = I1 + I2 (A) となります。
つまり、合成電流Iが特定の値であるとき、枝分かれが増えればそれだけ、1つのラインに流れる電流は減っていく「分流」(される)ことになるわけです。
例 1
このような回路の合成抵抗Rを求めるにはどうしたらよいでしょうか。
左側の3列の並列回路の合成抵抗R1を求めます。
次に、右側の2列の並列回路の合成抵抗R2を求めます。
R1とR2は直列回路となりますので、
全体の合成抵抗Rは、
R=R1+R2 となり、 10+15=25(Ω)
回路の合成抵抗R=25(Ω) となります。
例2
この回路の合成抵抗は・・?
上段の3列並列と2列並列の合成抵抗が、25Ωでしたね、(省略しました、悪しからず)
下段のR1とR2は直列ですから、 合成抵抗は 10+5=15Ω です。
25Ω と 15Ωの並列接続ですから、
全合成抵抗Rは
R= 25×15 / 25+15 これは 375/ 40=9.375Ω です。
試験問題には、回路の形を崩して出題されることが多いのですが、慌てずに部分ごとにまとめて回路の形をわかりやすく変形してみるとよいでしょう。
直流と交流の違い
電気回路で使用される電源は、大きく分けて 直流電流と交流電流があります。
直流電流は、時間とともに電圧の変化や極性の入れ替わりがなく、定義上プラスからマイナスへの一方通行で常に一定の電圧を供給します。
時間tが変化しても、0(V) を基準に電圧と極性は常に一定。
携行可能なバッテリーなどの二次電池は、直流です。
電子回路の電源として使用します。
交流電流は、時間とともに電圧が変化していき、ある時間からは極性が入れ替わり変化していきます。
時間tの変化とともに、0(V) を基準に電圧および極性が変化してゆく。
交流電流は、そのままでは半導体などの素子の電源としては使用できないため、整流回路などで直流に変換されてから回路に供給されます。
なぜ交流電圧が使われるのか、それは主に発電上の問題でもあります。
すべての供給元となる発電所などの発電システムは、その構造上直接高圧の直流電流を作ることはできません。
なぜなら、磁気を使った発電機の出力はすべて交流なのです。それを、遠く離れた場所まで送電するためにも交流の方が何かと都合がよいのです。
そして、使用したい時と場所で直流に変えてやればよいのです。
交流の最大の利点は、電圧を変圧するトランスで電圧を自由に変えることが出来るという点です。
送電は、電流値が低いほど、熱による損失が少なくなるため、トランスで電圧を高くし電流値を下げることによって、効率よく送電することができるというわけです。
交流の中にも「単相」「三相」という種類があります。一般的に家庭では「単相交流」、工場など大きな動力が必要なところでは「三相交流」が使われます。
無線技士試験問題などで交流回路の問題が出題されますが、これらの場合は高周波信号や誘導性の負荷を扱う場合に必要となるからです。
試験問題解答・解説集もご覧ください。 (カテゴリー:無線技士)