第3級陸上特殊無線技士の試験問題と解答集。復習ポイントを押さえよう。前編
4級アマチュア無線技士の試験問題も、内容的にはほとんど変わりありませんので以下の問題で練習しておけば十分合格できるでしょう。
平成28年10月から、 平成30年10月までの問題です。 同じような問題が何回も出てくるので、場合によっては説明が重複したりまた省略したりしていますが、全体では一通りの説明はしてありますので我慢して読み進めてください。
工学問題中の計算問題について自分は全く畑違いで、電気問題など見たこともない・・という方は、先ず問題をみて ?? となったら、先に解答を見ましょう。あれこれ考える時間がもったいないだけです。 その答えを導くためには、どのように考え、計算したらよいかを考えていく方が理解は早いと思います。それ以外は、ひたすら暗記すれば大丈夫です。
平成28年10月
復習POINT:
FET(電界効果トランジスタ): PN接合型のトランジスタ の 各電極の名称。
ドレイン:コレクタ ゲート:ベース エミッタ:ソース に対応している。
合成抵抗の計算 :直列の場合は、単純に合計すればよい。
並列接続の場合は、 (R1×R2)÷(R1+R2) となる。
試験問題には、並列抵抗2本分の回路しか出てこないので この式だけおぼえておいて構いません。
因みに、複数本の並列抵抗値の計算は 合成抵抗R= 1 ÷ (1/R1+1/R2+1/R3・・・) となります。 (H29年2月をご参照ください)
電池の種類 :1次電池 と 2次電池 の違い。(充電タイプか、そうでないかの違いです)
FM受信機の スケルチ機能(回路)とは・・。(音声出力がないときのノイズの大きさとスケルチ調整の関係。)
平成29年2月
復習POINT :
合成抵抗 合成容量の 計算。
合成抵抗の計算:
式を簡単にすると・・・
全体の抵抗 R=( a×b ) / ( a + b ) (Ω) です。
( a×b ) の値を ( a + b ) で割ります。
直列回路の場合は、単純に 全体の抵抗 R= ( a + b ) (Ω) となります。
コンデンサーの合成容量計算 :
コンデンサーの場合は、抵抗のように エネルギーを消費するのではなく、エネルギーを蓄えまた放出するものという事です。
なので、直列及び並列時の 合成容量の計算は、抵抗値の計算とまったく逆をやればよいのです。
直列全体の容量 C=( c1×c2 ) / ( c1 + c2 ) F(ファラッド) です。 つまり、 ( c1×c2 ) の値を (c1 + c2 ) で割ります。
単位は、μF(マイクロファラッド)で出題されるので、単位を気にせずそのまま計算してください。
並列回路の場合は、単純に 全体の容量 C= ( c1 +c2b ) F(ファラッド) となります。
アンテナの種類と、電波の波長について :
波長 λ (ラムダ) とは、電波の波の 1サイクル分の長さを言います。 電波の進行速度は一般に、3×10の8乗 メートルです。
周波数とは、1秒間に 繰り返される サイクル数を言います。 例えば、2.4GHz(ギガヘルツ) は、1秒間に 2.4×10の9乗 回の波が発生することです。
3×10の8乗 メートル を 2.4×10の9乗 で割ってやれば 1波長分の長さがわかりますね。(計算結果は、0.125メートルです)
アンテナを作製するときによく使われる エレメントの長さを 1/4λ(ラムダ)にするとか、1/2 λ(ラムダ) に合わせるとか書いてありますが、エレメントの長さは、この波長の 整数分の一 に合わせることが必要なのです。
平成29年6月
復習POINT:
オームの法則
I:電流 E:電圧 R:抵抗 とした場合、この3つの関係を式に表すと・・。
I = E / R ( A :アンペア) となります。 この式から
E = I×R (V:ボルト)
R = E / I (Ω:オーム) が、求められます。
電力の計算式は、
P = E × I (W:ワット) この式に、上の 「E」や「I」をあてはめると・・・。
P=I×I×R となり、 P=I の2乗 ×R となります。 それから、もう一つ・・。
P = E ×( E / R ) となるので、 P = Eの2乗 / R でも、求めることができます。
半導体は、周囲の温度が上昇するとその電気抵抗 が 減少 し、内部を流れる電流は 増加 する。
半導体は、温度が極端に上昇すると内部破壊が起こるので 要注意です。
アナログ方式の回路計(テスタ)のゼロオーム調整つまみは、抵抗値を測定するときに必要です。 テスト棒(赤と黒)ショートさせてた状態で、指針が正確に 0Ω(オーム)を指すようにしてから測定を開始します。
搬送波(一般的に キャリアともいわれ、必要な情報信号を乗せて飛ばすための高周波信号です)は、発振回路にて作られます。 普段よく呼ばれる 何ギガ帯の電波とかは、この周波数を示しています。
平成29年10月
復習POINT:
電圧・電流の測定方法
( 電圧計の使い方 )
電圧計は、被測定物の両端に並列に接続します。
被測定物 の前と後ろの 電圧の差を見るのです。
( 電流計の使い方 )
電流計は、 被測定物 と直列に接続します。
これは、被測定物 を通過する電流値を見るためです。
試験問題では、回路図(絵)のかき方が変わったりしますので、接続方法をしっかり覚えておけば大丈夫です。
無線機器とアンテナ間をつなぐものを、伝送線路を言います。
伝送線路には、次のようなものがあります。
同軸給電線 : 不平衡型 (フィーダー線) で、断面は同心円を何層にも重ねたような構造になっており、内部導体(芯線)を覆う外部導体が電磁シールドの役割を果たすため、外部から到来する電磁波などの影響を受けにくい。
平行 2 線式給電線 : 平衡型(フィーダー線)で、 2本の導線を平行・等間隔に絶縁体被覆などで保持したもの。
導波管 について : 中空の管状導体(断面は矩形が一般的)の内部を伝播させる。マイクロ波以上で用いられる。
平成30年2月
復習POINT:
アンテナの種類
アンテナのエレメントサイズ、( λ :ラムダ )
アンテナ(放射素子)のサイズは、使用する周波数によって決まります。 波長( λ :ラムダ)によってあらわされます。 例:1/2λ
波長とは、 ( λ ラムダ :メートル)
1サイクルの間に電波が進む距離です。
24GHzの電波ならば・・
伝搬速度、3×10の8乗メートルを 周波数(F) で割った値です。
3×10の8乗 割る 24×10の9乗 となり、 24GHzの電波の波長( λ )は 0.0125 メートル となります。
周波数とは、( Hz:ヘルツ )
例:ドローンでよく使われる 24GHz(ギガヘルツ) とは、1秒間に 24×10の9乗 回のサイクルを持つ電波。
平成30年6月
復習POINT:
FM送・受信機の基本構成
各年度によって空欄部分が変わりますので、面倒ですが一通り暗記しておくのが良いでしょう。 送信機と受信機を間違えないように注意してください。
平成30年10月
復習POINT:
電波の伝搬
短波・超短波などの、電波の伝わり方。 地表波(直接波)と空間波(反射波)の違い
放送局のアンテナから直接飛んでくる電波を地表波といいます.それに対し電離層で反射してくる電波を空間波といいます.
電離層とは何か。
電離層(でんりそう)とは、地球を取り巻く大気の上層部にある分子や原子が、紫外線やエックス線などにより電離した領域である。 この領域は電波を反射する性質を持ち、これによって短波帯の電波を用いた遠距離通信が可能である。
地球の上空100km-300km程度のところには,太陽からのX線などによって原子が電離しイオン化した状態の電離層があります. この電離層は幾つかの層からなっており,下からD層,E層,F層と呼ばれています. D層は太陽の影響を受ける昼間のみ存在し夜間は消滅しますが,E層,F層は昼夜間を問わず存在します. これは電離層が太陽の働きによってできているからです. 季節によっても電離層の状態は変化します. このため,中波ラジオの受信状態の変化には,1日の中での時間による変化と季節による変化に分けられます.
- 長波(LF)はD層で反射し回折が著しいので地表の丸みに沿って伝わる.
- 中波(MF)は昼間は D層に吸収され減衰してしまうが,夜間はD層が消滅するので E,F 層で反射され遠方に伝わる.
- 短波(HF)は常にD層を通り抜けE,F層で反射されるが,昼と夜では電離層の状態が異なるので伝わり方が変わる.
- VHF,UHFは電離層を通り抜け反射しないので遠方には伝わらない. 基本的に見渡し距離内しか伝わらない.
夜に遠くの中波ラジオを聞いていると音が大きくなったり小さくなったりします. このような現象をフェージングといいます. 短波放送では一日中フェージングがあって当たり前です.
このフェージングが起きる原因としては,以下のようなものがあります.
- 幾つかの経路を通ってきた波が干渉するもの.
- 電離層そのものが時間的に変動することによるもの.
- 電磁波の偏波面の変化によるもの.
フェージングを軽減するには,同期検波回路や,ダイバーシティアンテナなどが効果的です.
ダイバーシティには,周波数ダイバーシティ,空間ダイバーシティ,偏波ダイバーシティなどがあります. 周波数ダイバーシティは,短波でよく使われる方法で,複数の周波数を使って同じ放送を送信して受信状態の良いものを選択して利用する方法です. 空間ダイバーシティは,空間的に離れたアンテナを複数用意して受信状態の良いものを利用する方法です. 偏波ダイバーシティは,偏波面の変化があっても一定信号を受信できるアンテナを利用する方法です.
国試は、全国各地で年に3回実施されており、居住地に一番近いところでの受験が可能です。(どの地域で受けても構いません。)
オンラインで簡単に受験申請ができます。
試験内容は、ほぼその出題傾向が決まっており数年分の問題を繰り返し練習しておくだけで、ほとんどが合格できるものです。細かな理屈はわからなくても、言葉の暗記だけでもクリヤできますので気軽に挑戦してみてください。
今回、法規問題は割愛させていただきましたが、法規に関しては文章問題の暗記のみで大丈夫でしょう。
では、ご健闘を祈ります。