2024年.03-3 工学問題及び解説
まず問題を解く、一発合格を目指して頑張ってみてください。
試験問題は、過去数年間の問題のほぼ繰り返し出題となっています。言い回しや解答の仕方に若干の違いがあるくらいで設問の内容はあまり変っていません。繰り返し問題を読めば、スムーズに回答が導き出せるでしょう。
問題の回答集は、後半にまとめて記載してありますので、参考にしてください。なお、工学問題については、解説を付けてありますのでより理解しやすい内容となっています。
〔問 1 〕図に示す並列共振回路において、インピーダンスを Z、電流を i としたとき、共振時にこれらの値はどのようになるか。
Z i
1. 最大 最大
2. 最大 最小
3. 最小 最小
4. 最小 最大

R:抵抗 L:コイル C:コンデンサ
〔問2〕 変調された信号の中から、音声信号を取り出す回路は、次のうちどれか。
1. 検波回路
2. 増幅回路
3. 変調回路
4. 発振回路
〔問3〕 図に示すSSB(J3E)波を発生させるための回路の構成において、出力に現れる周波数は、次のうちどれか。
1. 1,503.5〔kHz〕
2. 1,505.0〔kHz〕
3. 1,508.0〔kHz〕
4. 1,509.5〔kHz〕

〔問4〕SSB(J3E)トランシーバの送信部において、送話の音声の有無によって、自動的に送信と受信切り替える働きをするのは、次のうちどれか。
1. ALC回路
2. VOX回路
3. 帯域フィルタ(BPF)
4. 平衡変調器
〔問5〕SSB(J3E)受信機において、クラリファイヤ(またはRIT)を設ける目的は、次のうちどれか。
1. 受信信号の明りょう度を良くする。
2. 受信強度の変動を防止する。
3. 受信周波数目盛を校正する。
4. 受信雑音を軽減する。
〔問6〕 FM(F3E)受信機のスケルチ回路についての記述で、正しいものはどれか。
1. 受信電波が無いときに出る大きな雑音を消す回路。
2. 受信電波の振幅を一定にして、振幅の変化を取り除く回路。
3. 受信電波の周波数成分を振幅の変化に変換し、信号を取り出す回路。
4. 受信電波の近接周波数による混信を除去する回路。
〔問7〕 無線送信機に擬似負荷を用いる目的として、正しいものはどれか。
1. 送信周波数を安定にするため。
2. 調整中に電波を外部に出さないため。
3. 送信機の消費電力を節約するため。
4. 寄生 振動を防止するため。
〔問8〕 次の記述の 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。
スポラジックE層は、( A )の昼間に多く発生し、(B )帯の電波を反射することがある。
( A ) ( B)
1. 夏季 SHF
2. 夏季 VHF
3. 冬季 VHF
4. 冬季 SHF
〔問9〕 送信機で発生する高調波がアンテナから発射されのを防止するため、送信機のアンテナ端子と電線の間に、どれを挿入すればよいか。次のうちから選べ。
1. ラインフィルタ
2. 高域フィルタ(HPF)
3. 同軸避雷器
4. 低域フィルタ(LPF)
〔問10〕 次の記述は、リチウムイオン蓄電池の特徴について述べたものである。 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。
リチウムイオン蓄電池は、小型軽量で電池1個当たりの端子電圧は1.2〔V〕より ( A ) 。 また、自然に少しずつ放電する自己放電量が、ニッケルカドミウム蓄電池より少なく、メモリー効果がないので継ぎ足し充が( B )。 破損・変形による発熱・発火の危険性が ( C ) 。
( A ) ( B ) ( C )
1. 低い できない ある
2. 低い できる ない
3. 高い できない ない
4. 高い できる ある
〔問11〕 図に示した八木アンテナ(八木・宇田アンテナ)において、最も強く電波を放射するのは、Ⓐ Ⓑ © ⓓのどの方向か。 ただし、エレメントの長さは、A < B < C の関係にある。
1. Ⓐ
2. Ⓑ
3. ©
4. ⓓ

〔問12〕 図に示すように、破線で囲んだ電流計 A₀に、A₀の内部抵抗 r の 1/4 の値の分流器 R を接続すと、測定範囲は A₀ の何倍になるか。
1. 2倍
2. 4倍
3. 5倍
4. 6倍

解答及び解説は、こちらから…
( 問1) Z i
2.最大 最小
並列共振回路と直列共振回路
・並列共振回路(RLC並列回路):抵抗( R )、コイル( L )、コンデンサ( C ) を並列に接続した回路です。特定の周波数(共振周波数)において、回路全体のインピーダンスZが最大となり、外部から見た電流が最小(ゼロに近づく)になる現象(反共振)を利用して、特定の周波数の信号を選択するフィルター等に用いられます。インピーダンスが最大になるため、電源から流れ込む回路電流は最小(理想的にはゼロ)になりますが、コイルとコンデンサの間では共振電流と呼ばれる大きなエネルギーが循環するため別名「電流共振回路」とも呼ばれます。
・直列共振回路(RLC直列回路):抵抗( R )、コイル( L )、コンデンサ( C ) を 直列に接続 した回路です。特定の周波数(共振周波数)においてコイルの誘導性リアクタンスとコンデンサの容量性リアクタンスが打ち消し合い、回路全体のインピーダンスZが最小(抵抗のみ:Z=R)となり、回路電流Iが最大になりコイルとコンデンサに大きな電圧が発生します。

共振周波数F₀は、コイルの誘導性リアクタンスとコンデンサの容量性リアクタンスが等しくなる周波数の事です。
共振周波数 F₀=1/2π√(LC)
F₀:共振周波数
(㎐)
L:インダクタンス
(H:ヘンリー)
C:静電容量 (F:ファラッド)
チューナーなどのように目的の周波数を選択する場合は、F₀が目的の周波数になるようにLとCの値を選択すればよいのです。
( 問2) 1. 検波回路
検波回路:受信した高周波(RF)信号から、音声などの必要な低周波(ベースバンド)信号を取り出す(復調する)回路です。
変調回路:音声やデータなどの情報信号を、電波などの高周波の波(搬送波:キャリア)に変換・合成する電子回路です。この回路によって作られた信号は、送信機からアンテナへと送られ空間へ輻射されます。
発振回路:回路電源の直流電気エネルギーから一定周期の電気信号(交流やパルス)を作り出す回路です。コンピュータの動作の基準となるクロック信号(基準パルス)や、無線通信における電波(搬送波)などを作る重要な回路であり、きわめて正確で安定な動作が要求されます。あらゆる電子機器に不可欠な基本回路です。
( 問3) 3. 1,508.0〔kHz〕
SSB(単側波帯)の平衡変調:音声などの信号波と高周波の搬送波を混合し、送信に不要な「搬送波(キャリア)」を打ち消す(抑圧する)変調方式で、平衡変調器の出力は、搬送波の周波数fç を中心に、音声信号の周波数fsが上下に分かれた「上下側波帯(fç±fs)」のみを含んだDSB(両側波帯)信号となります。
USB;fç+fs (上側波帯)、 LSB:fç−fs(下側波帯)
このDSB信号から使用したい片側だけ(SSB)にするために、鋭い特性を持つクリスタルフィルタ(水晶フィルタ)などに通したり(フィルタ法)叉は音声信号と搬送波の位相をそれぞれ90度ずらして2つの平衡変調器に入力し、合成することで不要な側波帯を打ち消します(移相法)。
上側波帯を使用するための帯域フィルタがありますので、搬送波が 1506.5〔kHz〕に対し、信号波1.5〔kHz〕が乗り 1508〔kHz〕となります。(この時の下側波帯の周波数は1500〔kHz〕です。)
局部発信器(Local-Osirator):スーパーヘテロダイン方式などにおいて、周波数変換のための信号を発生する発振器のことです。
( 問4) 2. VOX回路
VOX回路:音声を感知して自動的にスイッチ(オン/オフ)を切り替える回路のことです。無線機でマイクに向かって喋るだけで送信状態に切り替わる「音声自動送信機能」です。ON-OFFの応答(反応)時間は、手動で調整可能です。
ALC回路:入力される信号の振幅や電力を自動的に調整し、出力レベルを一定に保つための回路です。過大入力による音割れ(歪み)、機器の損傷を防ぎます。
帯域フィルタ(BPF:バンドパスフィルタ):特定の周波数帯域の信号や光だけを通過させ、それ以外の不要な成分を遮断・減衰させるフィルタです。
( 問5) 1. 受信信号の明りょう度を良くする。
RIT(クラリファイヤ):通信相手の信号と自分の周波数がわずかにズレ(諸条件により変動)て、声が高くなったり低くなったりするのを修正します。これは、受信音だけを調整(受診周波数の微調整)するため、相手の了解なしに自分側の聞き取りやすいトーンに合わせることができ、 RITを回して受信周波数を変えても、送信する周波数は固定されたままなので相手側の受信に影響を及ぼすことはありません。
( 問6) 1.受信電波が無いときに出る大きな雑音を消す回路
スケルチ回路:トランシーバーやFMラジオなどの無線通信機において、通信信号が受信されていないときに発生する「ザーッ」という背景(ホワイト)ノイズを自動的に抑制・遮断し、スピーカーをミュート(静音)にする回路で、無線通信機において、通信信号が受信されていないときに発生する「ザーッ」という背景ノイズに対し、信号が設定レベル以下の時に低周波増幅器を自動的に抑制・遮断し、スピーカーをミュート(静音)にします。
ただし、設定値が高すぎるとフェージングなどにより電波が弱くなったときは遮断されてしまいますので状況に応じて手動で調整します。
( 問7) 2.調整中に電波を外部に出さないため
擬似負荷(ダミーロード):無線機器の送信テストなどにおいて、電波を発信する際、実際のアンテナの代わりに接続して消費電力を再現したり伝送線路のSWR値を確認したりするときに用いられる装置(抵抗器)です。
テスト段階で、不要なスプリアスが発射されたり、近隣に電波障害を起こさないよう機器を事前に調整するときなどに使用されます。
( 問8) 2. 夏季 VHF
電離層
地上約60km〜1,000kmに広がる大気層のことです。太陽からの強い紫外線やX線によって大気中の分子が電子とイオンに分解(電離)されており、電波を反射する性質を持っている層の事です。電子密度の違いによって、下から順にD層 (60km – 90km)、E層 (100 – 120km)、F1層 (150km – 220km)、F2層 (220km – 800km) の4つに分けられ、上層に行くほど紫外線は強く多くの電離が生じるため電子密度は大きくなっています。
周波数による違い
- 超長波(30kHzより低い周波数)は、電離層の影響をあまり受けない。
- 長波(Low Frequency)は、地球の昼半球ではD層で反射して、D層が消滅する夜半球ではE層で反射される(中波に似る)。
- 中波(Medium Frequency)は、地球の昼半球ではD層で減衰されてしまうため、昼半球での送信では伝播距離は地表波が届く数十キロ程度に留まるが、D層が消滅する夜半球での送受信では主にE層で反射され、数百から1000キロ以上の遠方まで届くようになる。
- 短波(High Frequency)は、常にD層を通り抜け主にF層で反射されるが、昼半球と夜半球では電離層の状態が異なるので伝わり方が変わる(昼半球では高い周波数が、夜半球では低い周波数が反射されるようになる)。
- VHF・UHF以上の高い周波数(短い波長)の電波は、電離層を通り抜けてしまう。地上用としては、基本的に見渡せる距離しか伝わらない。
スポラジックE層:Es層)は、地上約100kmの高度に突発的かつ局地的に発生する、電子密度が非常に高い特殊な電離層です。日本では春から夏にかけての昼間や夕方に多く出現し、通常なら届かない遠方の電波を反射させる「異常伝搬(Eスポ現象)」を引き起こし、遠方のFMラジオや防災無線などに意図しない混信を発生させる原因にもなります。
( 問9) 4. 低域フィルタ(LPF)
(ローパスフィルタ:Low Pass Filter)は、ある任意の基準より低い周波数(遮断周波数)の信号をそのまま通過させ、それより高い周波数の成分を遮断または減衰させるフィルタです。
LPFに対し、HPF(High Pss Filter:高域フィルタ)やBPF(Band Pass Filter:帯域フィルタ)などがあります。 ラインフィルタ(ノイズフィルタ)は、電源ラインや同軸ケーブルに混入する高周波ノイズや、無線機から電源側へ漏れ出す不要な電磁波(EM波)を低減・遮断するための部品です。受信感度の向上や、他の家電・周辺機器への電波障害、TVI(映像ノイズ)などの防止に必須の対策アイテムです。
( 問10) 4.高い できる ある
1次電池と2次電池
充電して繰り返し使えるのが2次電池、1回使い切り(乾電池など)が1次電池です。
2次電池には、小型・軽量で高電圧・高エネルギーリチウムイオン電池、メモリー効果が少なく扱いやすい、ハイブリッド車(HEV)などで使われるニッケル水素電池、大電流を流せるがメモリ効果の大きなニッケルカドミウム電池(ニッカド)、鉛蓄電池:古くからあり、コストが安く大電流を出せるため、自動車のエンジン始動用やUPS(無停電電源装置)に多い鉛蓄電池、次世代電池としてリチウムの代わりに豊富なナトリウム資源を利用する低コストなナトリウムイオン電池などがあります。
メモリー効果とは、充電式の電池(二次電池)の残量が残っている状態で継ぎ足し充電を繰り返すと、電池があたかも容量を減らしてしまったかのようになる現象で、電力供給能力が徐々に低下してしまいます。
( 問11) 1. Ⓐ
アンテナ・エレメントの役割
電波を実際に送受信する金属の棒や導体部分を指します。エレメントの長さは、受信・送信したい電波の「波長(長さ)」に合わせて設計します。 エレメントは3つの部分で構成され、高周波を放出する部分は給電部を介して輻射器(放射器)のみで行います。
A:導波器(ディレクター):電波の方向に並んだ、輻射器より短い金属棒数本で構成されています。。電波を収束させて送受信の感度と指向性を上げます。
B:輻射器(ラジエーター):同軸フィーダーの接続点(給電部)からエレメントへと高周波が分布されるので目的周波数の波長によってその長さは決定されます。
C:反射器(レフレクター):給電部(輻射器)の後ろにある長い金属棒。後ろから来る不要な電波や複写機より発射された電波を反射させ、前ぽに対する指向性を向上させます。
一本のアンテナでいくつかの周波数に対応させたい時は、各周波数の最大公約数となる長さを選択したり、ローディングコイルを中継させたりして同調させて、SWR比をなるべく低く抑える工夫がなされます。
ローディングコイル:ローディングコイルは、アンテナの物理的な長さを本来必要な長さよりも短くした際に、電気的な長さを補って共振させるために挿入するコイルのことです。アンテナをコンパクトにし、車載用や携帯用の無線機などに広く利用されています。
( 問12) 3. 5倍
図では、電流計Aの内部抵抗値rに対し、その1/4の抵抗値 R が並列に接続されています。 Rが「1」に対し、比率がその4倍になるrでは、そこを流れる電流値は抵抗値に反比例しますので、rに流れる電流値Ir とRに流れる電流IR (Irが)1:(IRが)4 の割合となります。 したがって、全体の電流は 電流計A の指示値 Ir の5倍となるわけです。
分流器と分圧器(倍率器)
分流器:「電流計で測定できる範囲を超えた大きな電流を測定するために、電流計と並列に接続する抵抗器」の事で、大きな電流は、そのままでは電流計の内部回路を焼き切ってしまいます。そこで、抵抗(分流器)を並列につなぐことで、電流を「電流計」と「分流器」の2つのルートに分割します。 これにより、電流計が示した値に一定の「倍率(電流計本体の内部抵抗値と分流器の抵抗値の比率)」をかけることで、流れている全体の電流値を算出します。( オームの法則により、電流値は抵抗値の値いに対し反比例となります。)
分圧器(倍率器):「高い電圧を、抵抗などの素子で分割し計測器で必要な低い電圧を取り出すための電気回路や機器」のことです。直列に接続した2つの抵抗の比率を利用するのが最も一般的で、電圧計が示した値に一定の「倍率(電圧計本体の内部抵抗値と分流器の抵抗値の比率)」をかけることで、流れている全体の電圧値を算出します。 ( オームの法則により、電圧値は抵抗値の値いに対し正比例となります。)
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