2024.02-2 工学問題及び解説
4級の10W以下より、50W機やモールス信号も使える3級試験! 一発合格を目指して頑張ってみてください。
試験問題は、4級同様過去数年間の問題のほぼ繰り返し出題となっています。言い回しや解答の仕方に若干の違いがあるくらいで設問の内容はあまり変っていません。繰り返し問題を読めば、スムーズに回答が導き出せるでしょう。
気分転換で打鍵(モールス)しながら楽しくやりたい。
問題の回答集は、後半にまとめて記載してありますので、参考にしてください。なお、工学問題については、解説を付けてありますのでより理解しやすい内容となっています。
早速、問題です。
〔問 1〕次の記述の 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。以下から選べ。
アマチュア局から発射された435〔MHz〕帯の基本波が、地デジ(地上デジタルテレビ放送 470~710〔MHz〕)のアンテナ直下型受信用ブースタに混入し電波障害を与えた。この防止対策としては、地デジアンテナと受信用ブースタとの間に( A )を挿入し、アマチュア局の電波を( B ) すればよい。
( A ) ( B )
1. 低域フィルタ(LPF) 減衰
2. 低域フィルタ(LPF) 増幅
3. トラップフィルタ(BEF) 減衰
4. トラップフィルタ(BEF) 増幅
〔問 2〕AMラジオ受信機に、希望波と異なる周波数の強力な妨害波が加わると、希望波が妨害波の変調信号によって変調され、BCIを起こすことがある。この現象を何変調と呼んでいるか。
1. 混変調
2. 平衡変調
3. 過変調
4. 位相変調
〔問 3〕図は、各種のアンテナの水平面内の指向特性を示したものである。 一般的なブラウンアンテナ(グランドプレーンアンテナ)の指向特性はどれか。ただし、点Pは、アンテナの位置を示す。
① ② ③ ④


〔問 4〕給電線に必要な電気的条件で、誤っているのは次のうちどれか。
1. 導体の抵抗損失が少ないこと
2. 絶縁耐力が十分であること
3. 誘電損が少ないこと
4. 給電線から放射される電波が強いこと
〔問 5〕空電による雑音妨害を最も受けやすい周波数帯は、次のうちどれか。
1. マイクロ波(SHF)帯
2. 極超短波(UHF)帯
3. 超短波(VHF)帯
4. 短波(HF)帯以下
〔問 6〕二次側コイルの巻数が10回の電源変圧器において、一次側にAC100〔V〕を加えたところ二次側に5〔V〕の電圧が現れた。 この電源変圧器の一次側コイルの巻数はいくらか。
1. 20回
2. 50回
3. 100回
4. 200回
〔問 7〕次の記述の( ) 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。
(1) 電源回路で、交流入力電圧100〔V〕、交流入力電流 2〔A〕というとき、これらの大きさは、一般に( A )を表す。
(2) 交流の瞬時値のうちで最も大きな値を最大値といい、正弦波交流では、平均値は最大値の( B ) 倍になり、実効値は最大値の( C )倍になる。
(A) ( B ) (C)
1. 実効値 1/√2 2/π
2. 実効値 2/π 1/√2
3. 平均値 1/√2 2/π
4. 平均値 2/π 1/√2
〔問 8〕コイルの電気的性質で、誤っているのは次のうちどれか。
1. 電流が変化すると逆起電力が生ずる。
2. 交流電流は周波数が高くなるほど流れにくい。
3. 電流を流すと磁界が生ずる。
4. 交流を流したとき、電流の位相は加えた電圧の位相より進む。
〔問 9〕次の記述の 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。以下から選べ。
接合形の電界効果トランジスタ(FET)は、( A )を変化させることにより( B )を変化させ、( C )が変化する働きがある。
( A ) ( B ) ( C )
1. ゲート電流 反転層 ドレイン電流
2. ゲート電流 空乏層 コレクタ電圧
3. ゲート電圧 反転層 コレクタ電圧
4. ゲート電圧 空乏層 ドレイン電流
〔問 10〕図は、位相同期ループ(PLL)を用いた一般的な発振器の構成例を示したものである。 □ 内に入れるべき字句で、正しいのは次のうちどれか。

1. 帯域フィルタ(BPF)
2. 帯域除去フィルタ(BEF)
3. 低域フィルタ(LPF)
4. 高域フィルタ(HPF)
〔問 11〕図は、単一正弦波で振幅変調した波形をオシロスコープで測定したものである。 変調度はいくらか。

1. 75〔%〕 2. 60〔%〕 3. 40〔%〕 4. 25〔%〕
〔問 12〕FM(F3E)送信機において、IDC回路を設ける目的で正しいのは次のうちどれか。
1. 周波数偏移を制限する。
2. 寄生振動の発生を防止する。
3. 発振周波数を安定にする。
4. 高調波の発生を除去する。
〔問 13〕SSB(J3E)受信機において、クラリファイヤ(又はRIT)を設ける目的は次のうちどれか。
1. 受信強度の変動を防止する。
2. 受信信号の明りょう度を良くする。
3. 受信雑音を軽減する。
4. 受信周波数目盛りを校正する。
〔問 14〕次の記述の( ) 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。
スーパヘテロダイン受信機の中間周波増幅器は、周波数混合器で作られた中間周波数の信号を( A )するとともに、( B )妨害を除去する働きをする。
( A ) ( B )
1. 復調 影像周波数
2. 周波数変換 過変調
3. 周波数逓倍 混変調
4. 増幅 近接周波数
解答及び解説は、こちらから…
〔問 1〕 3. トラップフィルタ(BEF) 減衰
・低域フィルタ(LPF): 「低い周波数成分を通過させ、高い周波数成分は通過させない」といった特性のフィルターです。
テレビの電波障害の対策では、HF帯や50MHz帯トランシーバーのアンテナ端子とアンテナの間に挿入するフィルターです。このため、トランシーバーの送信電力に見合ったものを選ぶ必要があります。
・高域フィルタ(HPF):ローパスフィルターとは逆に「高い周波数成分を通過させ、低い周波数成分を阻止する」フィルターです。
HF帯や50MHz帯の電波障害対策では、テレビのアンテナとテレビのアンテナ入力端子との間に挿入します。なお、テレビ用の受信ブースターが接続されている場合は、テレビアンテナと受信ブースタのアンテナ入力端子との間に挿入するのが障害除去に効果があります。
・トラップフィルタ(BEF):ある一定の周波数成分だけを減衰させるフィルターです。 430MHz帯の電波がUHF帯テレビの受信ブースターで増幅される等で発生する電波障害を対策する場合に使用されます。
・BPF:バンドパスフィルター(ノッチフィルター)は、必要な周波数帯域だけを通過させ、他の周波数成分はカットするフィルターです。一般的には144MHz帯での電波障害対策に使用され、トランシーバーのアンテナ端子とアンテナの間に挿入します。
〔問2〕 1. 混変調
混変調とBCI:混変調は、受信機(ラジオやテレビなど)で目的の電波を受信している際、付近にある強力な別の電波が混入し目的の信号(希望周波)と強すぎる不要な信号(妨害波)が同時に増幅回路に入ると、妨害波の振幅の強弱がそのまま希望周波に乗り本来の信号が妨害波の信号で勝手に変調されてしまう現象です。 アマチュア無線や業務無線などの電波が、ラジオ(特にAM放送)に受信障害を与えることをBCI(放送受信障害)と呼びます。
平衡変調:音声などの信号と搬送波(キャリア)を掛け合わせる回路の一種で、本来送信に不要な「搬送波」を打ち消し(抑圧)て出力する変調器のことで、送信電力の大部分を占めている搬送波自体は情報そのものを含んでいないため、回路であらかじめ「ゼロ」にして抑圧し側波帯のみを使用することでエネルギー効率が上がります。 主にSSB(単側波帯)やDSB(両側帯波)の無線通信で利用されます。
過変調:搬送波を変化させる変調処理において、入力される情報信号の振幅が大きすぎることにより、規定の変調範囲(変調度100%)を超えてしまう状態を指します。 音声信号が強すぎて搬送波の振幅が反転(マイナス域に突入)してしまうため、 波形が削られたりして音声が割れたり歪んだりする。
位相変調(PM:Phase Modulation):音声やデータなどの信号を波の「タイミング(位相)」を変化させることで情報を伝達する、つまり、情報を搬送波の位相の変化で伝達する変調方式です。大きく分けてアナログ変調とデジタル変調の2種類があります。
〔問3〕 1. 点P(垂直アンテナ)に対し、全周方向
別名「グランドプレーンアンテナ(GPアンテナ)」と呼び、 水平方向の全方位に均一に電波を発信・受信でき、垂直方向に電波を放射するのが特徴です。
構造は、 垂直に立てた1本のメインエレメント(長さは波長の1/4)と、その根本から放射状に広がる複数のアース線(ラジアル)で構成されます。扱いやすく安定した通信ができるため、タクシーや運送会社などの業務用無線、アマチュア無線などによく使われます。

〔問 4〕 4. 給電線から放射される電波が強いこと
高周波(電波)を効率よく発射させるためには、アンテナまでの伝送線路である給電線における損失はできるだけ少ないほうが良い。給電線の途中で電波が発射されてしまうと定在波(反射波)が発生し、場合によっては無線機の終段の高周波増幅器を壊してしまうことがある。
〔問 5〕 4. 短波(HF)帯以下
空電(くうでん)は、雷放電に伴って発生する強力な電磁波です。これが無線通信や受信機に侵入すると、「バリバリ」「ザー」といった不規則で突発的なノイズ(雑音)を引き起こす、数十Hzから数GHzと広い周波数帯の衝撃性の電磁波です。 短波帯(HF)や中波帯(MF)などの低い周波数帯の無線通信やラジオ放送(AMなど)は空電の影響を受けやすく、一方、FM放送や携帯電話で使われる超短波(VHF)やマイクロ波などの高い周波数帯では影響が比較的少なくなります。
〔問 6〕 4. 200回
変圧器(トランス)電磁誘導作用を利用して、交流電流の電圧を変換(昇圧または降圧)する機器です。 図記号左側の巻き線が1次側、右側の巻き線が2次側です。1次側と2次側の巻き線比率によって、1次側の電圧が電磁誘導によって2次側に誘導されます。黒い部分は鉄心で、磁力線を外に逃がさず、磁束密度(φ)を上げるためのものです。
回答では、2次側が10回巻きで5Vとなっています。この時の1次側の電圧が100Vですから、巻き線数は2次側の20倍あることになります。

〔問 7〕 2. 実効値 2/π 1/√2
正弦波の実効値と最大値は、それぞれ以下の関係式で表されます。
- 実効値 : 最大値/√2≒0.707× 最大値
- 最大値 : 実効値×√2≒1.414 × 実効値
- 平均値 : 最大値×(2/π)≒0.637×最大値
最大値(波高値):波形が描くプラスまたはマイナスの最大振幅(波の頂点)の値です。
実効値:交流を直流に置き換えた際、同じ量の熱(電力)エネルギーを生み出すことができる値です。
平均値:各極性の波形において、正弦波形の時間的変化を数学的に平均化した値です。
面倒な三角関数の式を覚える必要はありません、それぞれの言葉と関係性だけ覚えておいてください。
〔問 8〕 4. 交流を流したとき、電流の位相は加えた電圧の位相より進む。
コイルの場合は、電流の位相は加えた電圧の位相より遅れます、これを誘導性インダクタンス( jωLで表す )といいます。逆に、コンデンサなどの場合、電流の位相は電圧の位相より進み、これを容量性リアクタンス( j(1/ωc) で表す)といいます。(数式の中では、虚数を表す j を使って表します。)
交流回路内におけるインダクタンスやリアクタンスなどのいわゆる抵抗成分と通常の抵抗器などの抵抗値の合成抵抗を、総称して「インピーダンス Z(単位はΩ:オーム)」といいます。
例. Z=10+( jωL+ j(1/ωc) ) (Ω)
〔問 9〕 ( A ) ( B ) ( C )
4. ゲート電圧 空乏層 ドレイン電流
PN接合トランジスタ FET(電界効果トランジスタ)

トランジスタの基本的な使い方は、ベース電圧(PN接合Trの場合)やゲート電圧(FETの場合)を変化させることで、コレクタ電流、ドレイン電流をコントロールします。
〔問 10〕 3. 低域フィルタ(LPF)
位相同期ループ(PLL):(PLL:Phase-Locked Loop)は、入力信号の位相と、内部クロック(内部発振器による同期信号)の位相を一致させる回路です。クロック信号の安定化や周波数の変換(逓倍など)に広く使われています。
(発振器の構成についての概要説明です。)
- 基準水晶発振器:クリスタルを使用した原発振部です。安定連続した正弦波を作り出します。
- 位相比較器:入力された2つの信号の位相差を電圧に変換し出力する回路です。
- 低域フィルタ:(ループ・フィルタ)フィードバック回路では、短周期の信号変動が帰還増幅されることで無用な発振(ノイズの元)が起きることがあり、アナログPLLとデジタルPLLではこれを避けるためにローパスフィルタによって不要な短周期の変動信号を遮断します。
- 電圧制御発振器:入力された電圧によって出力周波数を制御することができる回路です。一般的にはバリキャップ(バラクタ、可変容量ダイオード)に入力電圧を加え、その静電容量の変化で発振周波数を制御するものが多い。
- 可変分周期:入力された周波数を整数分の1にして出力する回路です。PLLに入力された基準信号の周波数を精確に逓倍して出力する。この分周比率を外部制御によって可変にし、出力周波数を制御することができます。
〔問 11〕 2. 60〔%〕
変調度は、音声やデータなどの情報信号を、搬送波(はんそうは)に乗せて送る際、搬送波の変化の度合いを示す割合のことです。 設問での振幅変調(AM)における変調度は、搬送波の振幅(波の高さ)に対する、情報信号の振幅の比率を指し、0 から100までの数値、または百分率0~100%で表します。変調度が 100% を超えると過変調となり波形が歪んでしまいます。
変調度m=〔( Vmax−Vmin )/(Vmax+Vmin)〕×100(%)
Vmax:被変調波の最大振幅 Vmin:被変調波の最小振幅
変調度m=(40-10)/(40+10)×100(%) 結果、60% です。
〔問 12〕 1. 周波数偏移を制限する。
ID C回路(瞬時周波数偏移制御回路):FMでは、入力信号の振幅や周波数が大きい(高い)ほど、電波の周波数偏移(偏差)が大きくなります。大きな音声や高い周波数の信号を入力すると、規定の周波数帯幅(デビエーション)をはみ出してしまい、隣の周波数チャンネルに混信(スプラッタや隣接チャネル漏洩)を与えてしまうためにIDC回路が必要となります。
周波数偏移:搬送波(基準の周波数)を基準として、入力される信号(音声やデータ)に応じてどれだけ周波数が変化(偏移)するかを示す幅。
寄生振動 :電子回路などにおいて、本来の目的とは無関係に意図せず発生してしまう不要な電気的振動のこと。
発振周波数:
高 調 波:基本波の整数倍の周波数を持つ波(スプリアス)のことで、2倍の周波数を「第2次高調波」、3倍を「第3次高調波」と呼びます。 高調波に対し、整数分の1の周波数を持つ波(スプリアス)のことを「低調波」といいます。
〔問 13〕 2. 受信信号の明りょう度を良くする。
クラリファイヤ(RIT):RIT(クラリファイヤ):通信相手の信号と自分の周波数がわずかにズレ(諸条件により変動)て、声が高くなったり低くなったりするのを修正します。これは、受信音だけを調整(受診周波数の微調整)するため、相手の了解なしに自分側の聞き取りやすいトーンに合わせることができ、 RITを回して受信周波数を変えても、送信する周波数は固定されたままなので相手側の受信に影響を及ぼすことはありません。
〔問 14〕 ( A ) ( B )
4. 増幅 近接周波数
中間周波増幅器:スーパーヘテロダイン方式の受信機において、周波数変換された一定の中間周波数(IF)信号を増幅する処理です。高い周波数をそのまま増幅すると回路が発振しやすくノイズや歪の原因となるため、低い周波数に変換して増幅することで安定した動作を得られ、目的のチャンネル以外の不要な電波(近接する周波数など)を効果的に除去します。
3級問題はCW(トーン発振)の問題が2~3問程度増えますが、あとは4級問題と似たり寄ったりなので、ある程度理解ができたなぁ..と感じるようでしたら、4級を飛ばしていきなり3級を目指しても大丈夫だと思いますよ。 さあ、思い切って頑張ってみてください。 過去問を繰り返し説けば必ずや合格を手にできるでしょう。