電圧・電流・抵抗の計算の仕方。 今更聞けないよなぁ、中学の理科、高校の物理…そんなもん覚えとらん!
4アマの試験で多くの人が最も難しいと感じる問題は、「無線工学」の計算問題(オームの法則など)や、「コイルやコンデンサの交流に対する働き」です。特に初学者にとってハードルが高いとされるのは以下3点となっています。
1. オームの法則や電力の計算問題
電圧 V、電流 I、抵抗 R の関係や、電力 P (P = I² × R や )を求める問題。 計算式自体はシンプルですが、見慣れていないし設問の仕方が変わると数字の当てはめ方に迷ってしまう。
2. コイルやコンデンサの性質(交流回路)
「コイルに交流電流を流したとき(またはコンデンサに流したとき)」の電流の増減や、周波数との関係を問う問題。 「周波数が高くなるとコイルには電流が流れにくくなる」「コンデンサは静電容量が大きいほど電流が流れやすい」といった原理を丸暗記しただけでは問題の文言が変わると説き方がわからない。
3. 電力の増幅や減衰を表す「デシベル(dB)」デシベル:利得(dB)の計算
理由は、 3 dB や 10 dB など、練習問題通りの決まった数値ならいいが、設定値が変わると対数計算のルールを知らないと手が出ない。
アマチュア無線4級の国家試験は、過去問と全く同じ問題や類似問題が繰り返し出題されるという特徴があります、でも丸暗記だけでは不安を感じる方へ、具体的に分かりやすく分野ごとに分けて解説してみました。 とりあえずオームの法則について話しますね!
1 電圧と電流…言葉は知ってるけど、何が違うの?
3流 AI の案内人Bです。
先ずは、電圧や電流についてお話しましょう。
電圧(記号:V又はE)とは、電気回路の中で「電気(電子)を押し出す力(圧力)」のことです。水道に例えると、蛇口から噴き出す「水の圧力(水圧)」に相当します。電位差(電気的圧力の差)とも呼ばれ、単位はボルト(V)が使われます。
電流(記号:I)とは、電気(電荷・電子の移動)が流れる現象そのもので、その電気の流れる量のことです。水道に例えると、蛇口から出る「水の量(流量)」に相当します。単位はアンペア(A)が使われます。
抵抗(記号:R)とは、ある力や流れに対して「逆らうこと」や「妨げる力」を指します。 電気回路における抵抗は、電流(電気)の流れにくさ又はその流れを妨げる力を示す指標で、単位はオーム(Ω)を使います。 電気の流れを妨げる力が大きいほど、流れる電気の量は少なくなります。
次に、電圧・電流・抵抗 の3つの要素の関係(オームの法則)について考えてみます。
2 オームの法則ってなんだ?…聞いたことはあるけどなぁ。
???
オームの法則とは、電気回路における「電圧 (V)・電流 (I)・抵抗 (R)」の3つの関係性を示す最も基本的な法則です。 エネルギー保存の法則で考えると回路内の総エネルギーの量は常に一定ですので、どれかが上がればどれかが下がることになります。そのエネルギー量が、P(電力)としてあらわされます。
3つのうち 2つ の数値がわかっていれば、残りの1つを計算で求めることができます。
- 電流を求めたい時: I = V / R (電圧÷ 抵抗)(A)
- 電圧を求めたい時:V = I・R (電流 × 抵抗)(V)
- 抵抗を求めたい時:R = V / I (電圧 ÷ 電流)(Ω)

計算式を覚えるのは嫌だなぁ・・・。 でしたら、左の図で見ると一目瞭然です。
電流 I を求めたい時は、図の電流 I を指で隠せば V÷R (R/V)が残ります。
電圧Vを求めたい時は、図の電圧Vを指で隠せば I×R (I・R)が残ります。
抵抗Rを求めたい時は、図の抵抗Rを指で隠せば V÷I(V/I) が残ります。

例えば、左のような回路があります。3ボルトの直流電源に対し、250オームの抵抗が接続されています。 この時、回路内の電流はどれくらいになるでしょうか。
オームの法則の式、電流 I = 電圧V ÷ 抵抗R を使うと
電流 I = 3 ÷ 250 … ですから、
結果は 0.012(A:アンペア) となりますね。
読みにくいので単位を変えて 12(mA)ミリアンペア と書くことにします。 1(A )は、1000(mA)と同じですね。
これは、見方を変えれば 250Ωの抵抗に 12mA の電流が流れていたとすると、この時の電圧はいくらになるでしょう・・・という問題にもなります。
電圧V = I・R を使ってみましょう。
電圧V =12(mA)×250(Ω) ということは、
電圧V =12×10⁻³(A)×250(Ω) ここで、電流の単位 mA が A に変わっています。(m:ミリは1000分の1のことで、10⁻³(10のマイナス3乗)と書きます。)
電圧V =12×10⁻³(A)×250(Ω) ⇒ (12×250)×10⁻³
(12×250)×10⁻³ ⇒ 3000×10⁻³ ⇒ 答えは、3ボルト となります。
電圧と電流から抵抗値を求める場合も、同じように式に当てはめれば求めることができます。
このような 3つの要素の関係性を表すのが 「オームの法則」 です。
オームの法則以外で、抵抗を扱う上で他にも大切なことがあります。 それが「電力P 単位は、W(ワット)」です。 電子回路における電力は、主に回路やそれに接続された何らかのデバイス(総称して負荷といいます。)で消費されるエネルギー「消費電力 P」を指します。
電力は、電圧と電流の積(掛け合わせたもの)で求めることができます。
計算式で表すと、 電力P= V×I (W:ワット)
上の式に、オームの法則の式 I = V/R 、V = I・R を当てはめると
P = V×(V/R)=V²/R 又は P =(I・R)× I = R・I ² などと、書き換えることもできます。 つまり、オームの法則の3つの要素の内の2つの要素が分かれば電力 P の計算が可能ということです。
上の図の回路で、250Ωの抵抗Rがある回路に12mAの電流 I が流れると、この回路の消費電流は、
電力P = R・I ² を当てはめると、 電力P =250×(12×10⁻³)²
電力P =250×(144×10⁻⁶) ⇒ 36000×10⁻⁶ ⇒ 36×10⁻³(W) になります。
もう少し見やすく書き換えますと、 36mW(ミリワット) となります。
疲れましたか? ちょっと一休みして気が向いたら次を読んでください。急がず慌てず、ゆっくりとね。
コーヒーブレイク・・

次に、必ず出題されるであろう 「合成抵抗」 の計算です。
3 合成抵抗値の計算の仕方…並列と直列でどう違うのか。
① 直列接続の合成抵抗

左の図の回路で、直流電源(長い線と短い線で表します。)に対し、抵抗器R1とR2が接続されています。
この場合の合成抵抗は、ただ単に
合成抵抗= R1 + R2 となります。 抵抗がいくつあろうと同じで、どんどん足してゆけばよいのです。
② 並列接続の合成抵抗

ちょっと面倒なのが、並列の場合です。 左の図のように、並列に接続されている場合は、ただ足してゆく訳にはいきません。 まず、計算式を下に書きます。

合成抵抗をRp とした場合、左の式で求められます。

もし、何本もの抵抗が並列に接続されている場合は、左の式で求められます。 式の中で使われている「 n 」は、抵抗の本数分を表しています。
具体的に、計算してみます。( 抵抗器が2本の場合のみ次の式が使えます。)


aーb間の合成抵抗は、抵抗が2本の場合のみ、左の簡易式でも計算することができます。
20kΩ(キロオーム)は、20×10³のことですので、20000Ωで計算します。
R=1/{(1/200,00)+(1/200,00)} 整理すると、 R=1/(2/20000) となりますから
1/(2/20000)は、2/20000 の逆数ですので これをひっくり返すと、 20000/2 になります。
合成抵抗 R =10000(Ω) 単位を㏀で表すと、 R=10kΩ となります。
簡易式で書くと、 (20k×20k )/(20k+20k) … k(キロ)を10³ に置き換えています。
整理すると、 (400×10⁶)/(40×10³)=(400/40)×10³ =10×10³(Ω)となり、 10(kΩ)になります。
以下のポイントを押さえておきましょう。
基本的な計算式(2つの抵抗の場合)

2つの抵抗を並列に繋いだときの合成抵抗は、左の簡易式で求めます。
3つ以上の抵抗の場合
3つ以上の抵抗を並列接続したときは、それぞれの逆数の足し算をした後に、全体で逆数を取ります。

⑴ それぞれの抵抗値の逆数の合計が、合成抵抗の逆数(R分の一)となります。

⑵ 1/R のような逆数ではなく、わかりやすくすると、全体で逆数(R₀)を取るため、左のような面倒な式となるわけです。
同じ値の抵抗がいくつか並列にある場合
同じ抵抗値Rの抵抗を n 個並列に接続した場合、計算は非常にシンプルになります。
合成抵抗 R₀ は、抵抗値 R をその個数 n で割ってやればよいのです。 R₀ = R / n (Ω)
4 変則的な並列回路のまとめ方

並列抵抗が直列に接続されている場合は…。
⑴ それぞれの並列計算をします。
⑵ 3個並列を R₁グループ 、2個並列をR₂グループ として考えます。
30Ωが3個(同じ抵抗)(1/30)+(1/30)+(1/30)=3/30 これの逆数で (30/3)となります。R₁は、10Ω となります。
30Ωが2個(同じ抵抗)(1/30)+(1/30)=2/30 これの逆数で (30/2)となります。R₂は、15Ω となります。
⑶ 最後に、合成抵抗 R=R₁+R₂ =10+15 となり、 R=25(Ω)が求められます。
並列回路の中に直列接続がある場合も、同じようにグループ毎に分けて計算してやればよいのです。
試験問題としては、同じ値の抵抗が3本、又は異なる値の抵抗が2本..というケースがほとんどですので、R₀ = R / n や 2つの抵抗の場合の簡易式 で対応できる場合がほとんどです。
どうでしたか? 記号や数字が並ぶとそれだけでも面倒くさそうに感じますが、1度わかってしまえば何ということもなく、直ぐに応用もできるようになります。
5 コンデンサの合成容量計算
コンデンサ(キャパシタ)は、平行な2本線表されます。電気(電荷)を蓄えたり放出したりする基本的な電子部品で、直流電流を遮断し交流電流だけを通す性質があります。単位は、F(ファラッド)です。
1Fの電気的容量はとても大きく、回路内で使用するコンデンサの場合は、容量の少ない単位 μF(10⁻⁶):マイクロファラッド や pF(10⁻¹²) :ピコファラッドのものがほとんどです。)
コンデンサも抵抗器と同じように、いくつか直列又は、並列に接続した場合の合成容量を計算する必要があります。
・コンデンサの並列接続・・・抵抗器の直列接続と同じように、ただ単にどんどん足してゆけばよいのです。

左の図のような並列接続の場合は、
合成容量 C₀ =8(μF)+2(μF)=10(μF)
となります。
・コンデンサの直列接続・・・抵抗器の並列に接続と同じように、逆数の加算をした後逆数で表します。

合成容量をC₀ とした場合、
合成容量の逆数(1/C₀)は、直列に接続された各コンデンサの容量の逆数を加算したもの(1/C₁、1/C₂や1/C₃….)となります。
抵抗の並列計算式の抵抗Rを、静電容量C に置き換えた式となります。

上の式では、2つのコンデンサC₁・C₂ の合成容量Csを求める計算式ですが、前述の通り抵抗の並列計算の簡易式を使うこともできます。 ということは、同じ値のコンデンサが直列に接続されている場合、
合成容量C₀ は、容量値 C をその個数 n で割ってやればよいのです。 C₀ = C / n (F)

例えば、22μF が2個直列に接続されている回路では、 22÷2=11(μF) となります。
計算式の1問くらいなら捨てても構わないかもしれませんが、これを読み進めたあなたはもう計算問題を恐れる必要はありません。
以下は、おまけです・・・。
6 デシベル:利得(dB)の計算
皆さんはおそらく「デシベル」という言葉をどこかで耳にしたことはあると思います。デシベル(dB)とは、利得(ゲイン:信号の増幅度や減衰量などを表す数値)の単位 B(ベル)の事で、d(デシ)は10分の一の単位ということです。
対数計算を使う利得の計算そのものは、3・4級試験では出題されることはありませんが、因みに数値の対応表を書いておきます。言葉として覚えておくと何かと便利かもしれません。
利得と損失の代表的な比率(倍率)とdBの対応表です。
| 倍率 (真数) | 電力利得 | 電圧利得 |
|---|---|---|
| 1000 倍 | 30 dB | 60 dB |
| 100 倍 | 20 dB | 40 dB |
| 10 倍 | 10 dB | 20 dB |
| √10 倍 (約3.16倍) | 5 dB | 10 dB |
| 2 倍 | 3 dB | 6 dB |
| 1 倍 (変化なし) | 0 dB | 0 dB |
| 1/2 倍 | -3 dB | -6 dB |
| 1/10 倍 | -10 dB | -20 dB |
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