ドローン業界では圧倒的なシェアを誇る DJI(中国)ではあるが、このところ他社製品も安価で高性能なドローンを発表している。トイドローンもかなり高性能化しており、従来ラジコンに興味のなかった人たちにもドローンの普及には目を見張るものがある。しかし、落とし穴には十分な注意が必要となってきた。
たかがラジコン?・・とんでもない!
電波法や航空法についていろいろな注意喚起がある中、まだまだ不十分な認識でドローンを飛ばしている人たちがたくさんいるのです。
警察のお世話にはならないまでも、近隣住民からの通報で警察官から職質を受けたり、トラブルになったりという話を最近よく耳にします。
時々テレビのニュースにも取り上げられているドローン関連の事件を散見しますね。
捕まって初めて知った、ドローンに関わる法律とは・・・。
- 航空法
- 小型無人機等飛行禁止法
- 道路交通法
- 民法
- 電波法
- 都道府県、市町村条例
- 刑法
- 個人情報保護法
- 外為法
- 産廃法
上記の他にも、ドローン利用時には河川法、港則法、港湾法、自然公園法が関わってくる可能性があります。
条例には、「ドローン」や「無人機」について明確な定めがない分、原則として飛行の際はその都度、個別に管理者(管理部署)へ事前の相談と確認をし、調整をすることが必要な場合もあります。
連絡先が分からない特は、市役所に問い合わせると教えていただけます。
また、ドローンの利用に際しては法律以外にも「マナー」を守ることが大切です。ドローン利用者以外への配慮も忘れてはいけません。
ドローンは、立派な ” 無線機器 ” その罰則とは・・・。
トイドローンでも、コントロールの為の電波や、カメラ付きのドローンの場合はその映像信号の送信用トランスミッターを搭載しているため電波法の規定に則ったものであることが必要です。(使用周波数・出力によっては、無線技士資格を要することがあります)
違法無線機器を使用した場合の事例をいくつか挙げてみたいと思います。
事 例 1
中国総合通信局は、鳥取県で実施した電波監視において、「呼出符号(コールサイン)」を送出しない無線通信を捕捉。総務大臣の免許を受けずに無線局を開設した鳥取県在住の無線従事者に対し、11月20日から17日間、無線従事者の従事停止とする行政処分を行った。
無線従事者の従事停止17日間(無線従事者の従事停止処分は、電波法第79条第1項に基づくものです)
第4条(無線局の開設)
無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。(以下略)
第79条第1項
総務大臣は、無線従事者が左の各号の一に該当するときは、その免許を取り消し、又は3箇月以内の期間を定めてその業務に従事することを停止することができる。
補足:アマ無線周波数帯を使用する場合は、無線技士資格・開局申請及び運用時は自局のコールサインが映像内で確認できるような構造又はシステムを必要とします。
事 例 2
関東総合通信局は「移動しないアマチュア無線局」の免許しか持っていないにもかかわらず、移動してアマチュア無線を行った電波法第4条に違反する行為で、埼玉県のアマチュア無線家を42日間の無線従事者の従事停止処分を行った。
関東総合通信局は埼玉県在住の男性に対し、「移動しないアマチュア無線局」の免許しか持っていないにもかかわらず、移動してアマチュア無線を行った電波法第4条に違反する行為により、42日間の無線従事者の従事停止処分を行った。これは、関東総合通信局三浦電波監視センターによる「電波監視」によって違反の事実が発覚したもの。
電波法第4条
(無線局の開設)
第四条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし、次の各号に掲げる無線局については、この限りでない。
一 発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの
二 二十六・九メガヘルツから二十七・二メガヘルツまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が〇・五ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第三十八条の七第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)又は第三十八条の三十五の規定により表示が付されている無線設備(第三十八条の二十三第一項(第三十八条の二十九、第三十八条の三十一第四項及び第六項並びに第三十八条の三十八において準用する場合を含む。)の規定により表示が付されていないものとみなされたものを除く。以下「適合表示無線設備」という。)のみを使用するもの
三 空中線電力が一ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、次条の規定により指定された呼出符号又は呼出名称を自動的に送信し、又は受信する機能その他総務省令で定める機能を有することにより他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用することができるもので、かつ、適合表示無線設備のみを使用するもの
四 第二十七条の十八第一項の登録を受けて開設する無線局(以下「登録局」という。)
補足:ドローンは、固定局ではなく 移動局として扱われます。従って、開局申請時に移動局としての局免許申請が必要です。
事 例 3
関東総合通信局は許可を受けていない無線機を車両に設置し、無線局免許状に記載されていない周波数を使用して通信を行っていた無線従事者(第四級アマチュア無線技士)に対して、電波法第17条第1項および第53条の規定違反により、その業務に従事することを48日間停止する行政処分を行った。
これは、違法又は届出(局内設備の登録)無しのアマチュア無線機器を使用した事に対する処分です。
2.行政処分の内容等
被処分者:埼玉県在住のアマチュア局の免許人(男性)
行政処分の内容:48日間の無線局の運用停止処分及び無線従事者(第四級アマチュア無線技士)の従事停止処分
3.法的根拠
無線局の運用停止処分は電波法第76条第1項に、無線従事者の従事停止処分は同法第79条第1項に基づくものです。 (事例1と同じ)
第53条
無線局を運用する場合においては、無縁設備の設置場所、識別信号、電波の型式及び周波数は、その無線局の免許状又は第二十七条の二十二第一項の登録状に記載されたところによらなければならない。(一部略)
事 例 4
関東総合通信局は、同通信局三浦電波監視センターの電波監視により発覚した、許可されていない無線設備を使用し、指定されていない周波数および空中線電力で通信をした栃木県塩谷郡高根沢町在住のアマチュア局の免許人に対し、59日間の無線局の運用停止処分と無線従事者の従事停止処分を行ったことを公表した。
1.違反の概要
栃木県の男性は、許可されていない無線設備を使用して、許可を受けていない周波数および空中線電力で通信を行っていました。この行為は電波法第17条、第53条および第54条に違反することになります。
2.行政処分の内容等
無線従事者:栃木県在住のアマチュア局の免許人(男性)
行政処分の内容:59日間の無線局の運用停止処分及び無線従事者の従事停止処分
当然、上記の違反者には 別途 罰金も科せられます。
許可されていない無線設備を使用し、指定されていない周波数および空中線電力で通信をした とは、どういうことか・・・。
トイドローンの場合は、購入時に必ず ” 国内認定 ” または ” 技適取得済み ” と記載のあるものしか購入してはいけません。
たとえ、子ども用のおもちゃのドローンでも例外ではありません。
電波法上は 立派な 「無線機器」なのです。
電波の種類や周波数、出力など、海外製品にはこれらが日本国内の基準を満たしていないものが数多くあるのです。
ネットショップなどでは、技適認定がないのにも関わらず、飛行レビューを記載してあたかも認定品であるかのように謳っているものもあります。( 飛行レビュー をしている時点で違法なんですよ)
これらは、販売に関する法的規制がないもので、例え購入者が捕まっても販売者には一切の責任はありません。
要は、購入は自由だが 使用することが違法となるのです。
ドローンの違法飛行摘発、2019年は過去最多111件 (日経新聞ニュースより)
まとめ
200g未満だから航空法はクリヤしていると考えるのは早計です。 小型無人機等飛行禁止法 では、トイドローンであっても飛ばしてはいけない指定区域があります。(ネットで調べると、ご自身の居住地付近がどのような区域か簡単に調べられます) 国土地理院DID(人口集中・空港周辺)地区MAP
そして何より、電波法というものはあまり一般的にはなじみが少ないとは思いますが、かなり厳しいものです。前科が付くだけではなくかなり高額の罰金が科せられます。(飲酒運転と同じくらいと考えておくと良いでしょう)
2022年9月追記
2022年9月現在、航空法や飛行ルール・飛行方法が改正・追加されており 100グラム以上の小型無人機(マルチコプター、ラジコン・飛行船を含む)はすべて登録が必要となりました。
リモートIDについても番号表示や機器の搭載が義務付けられているので、無人飛行機を安全且つ合法的に飛ばすためには、法的順守事項をそれなりに理解しておかなければなりません。
詳細については、本サイト「ドローン入門」 にて詳しく解説しておりますのでご一読ください。