総務省は、無線LANの5.2GHz帯(W52)の屋外利用を可能にする電波法施行規則の一部改正へ向け、関連規定の整備。 (2018年)
国内では現在、「W52」と呼ばれる5.2GHz帯(5150~5250MHz)、「W53」の5.3GHz帯(5250~5350MHz)のいずれも、利用は屋内に限られ、放射される電波の電力の強さを表す最大EIRPも200mWまでに制限されている。一方、「W56」の5.6GHz帯(5470~5725MHz)は、屋外でも利用可能で、最大EIRPは1Wまでと定められている。
今回の改正により、W52もW56同様に、アクセスポイント側の最大EIRPを 1Wに引き上げ、屋外での利用を可能とすることを目指す。
なお、子機側の出力は200mWのままとなるが、利用にあたって免許や登録は不要。
一方、アクセスポイント(基地局)、陸上移動中継局(中継器)の設置には、免許と登録の手続きが必要となる見込み。
W53に関しては、引き続き屋内のみの利用となる。
周波数帯
2.4GHz帯(2400-2497MHz) 屋外利用 可
5.2GHz帯(5150-5250MHz) 屋外利用 可
5.3GHz帯 (5250-5350MHz) 屋外利用 不可 条件付※
5.6GHz帯 (5470-5725MHz) 屋外利用 可(上空を除く)
※5.2GHz帯の屋外利用の条件
- 人工衛星に影響を与えない(上空側へ強い電波が出ない)工夫が施された専用機器を利用する。
(「5.2GHz帯高出力データ通信システム」の技術基準適合証明等を取得した機器) - アクセスポイント及び中継器については、事前に総合通信局に「登録局」の手続が必要。
- 気象レーダーに影響を与えない場所(告示*に示す「開設区域」内)でのみ利用可能。
平成30年6月29日総務省告示第223号(5150MHzを超え5250MHz以下の周波数の電波を使用する無線局の開設区域を定める件)を示す。
5.2GHz帯の屋外利用
5.2GHz帯は、衛星通信システムのフィーダリンクと周波数を共用しています。また、隣接周波数帯に気象レーダーが使用しています。
このため、これらのシステムと共用を図りながら屋外利用を可能とするため、5.2GHz帯の屋外利用には条件が設けられています。
5.2GHz帯のアクセスポイント、中継器の屋外利用
5.2GHz帯を使用するアクセスポイントや中継器を屋外で利用する場合、衛星システム及び気象レーダーに影響を与えないよう、
- 専用の機器
- 事前に総合通信局に「登録局」の手続
- 告示に示す「開設区域」内での利用 が必要です。
無線LAN端末(子機)の屋外利用
モバイルルーターやスマートフォンのテザリング機能については、5.2GHz帯を屋外で利用できません。
この改正は2019年のラグビーワールドカップや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えたもので、実現すればスタジアムや駅などの商業・公共施設において、Wi-Fiの接続性が改善されることになるでしょう。
この背景には、ITU-R(ITU Radiocommunication Sector:国際電気通信連合 無線通信部門)が、5GHz帯無線LANと他システムとの共用可能性と、5.2/5.3GHz帯の屋外利用の可能性の検討を、WRC-19の議題として採択。
これに先立ち、米国やカナダでは、すでに5.2GHz帯の屋外利用が可能となっている状況がある。