昔から続く違法無線の取り締まり、違法無線局は未だなくなりません。でも、やっぱり使いたいけど資格取得は面倒、さらに業務にも使いたい・・そんな時は、簡易無線を使ってみましょう。
未だ違法改造無線局や無資格通信が後を絶たず、摘発記事を目にすることが多々ありますね。
アマチュア無線を業務で使用した場合は、一年以下の懲役または100万円以下の罰金、無免許無線局も同様に一年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
そこで、ある程度の出力を出すことができしかも申請だけで免許局・登録局として運用できる「簡易無線」をご存じですか?
一般的に言われるトランシーバーである無資格で届け出不要の特定小電力トランシーバーと混同されがちですが、まったく別ものです。
特定小電力トランシーバーは送信出力が0.01ワット以下の出力が小さい電波を使用する無線機です。
登録や免許申請が不要で購入してからすぐに使うことができますが、 通信距離は、100mから1kmと他の無線機と比較して短く、小規模通信専用となっています。(間に障害物があると、通信不能になりやすい)
それでは、携帯電話以外で気軽に且つ便利に使える通信手段として、デジタル簡易無線、IP無線、トランシーバアプリについてお話します。
デジタル簡易無線
デジタル簡易無線には、「デジタル簡易無線免許局」と「デジタル簡易無線登録局」の2種類があります。
デジタル簡易無線免許局と登録局の違いは、「周波数」・「免許の有無」・「レンタルの可否」・「レジャー用通信ができるか否か」といったことが主で、通信機事態に大きな違いはありません。
簡易無線ついては総務省令電波法施行規則第4条第1項第25号と第3条第1項第16号にて定義されています。
免許局・登録局の両局を使用できるデュアル機やIPトランシーバー・デジタル簡易無線機(登録局・免許局)を全て使用可能なハイブリッドIPトランシーバーなども販売されているので手軽に利用できますよ。
それぞれの違いは以下の通りです。
・通信目的(免許局は業務用通信のみ、登録局は業務用通信とレジャー用通信)
・通信周波数(免許局は465MHz帯、登録局は351MHz帯)
・使用できるチャンネル数(免許局は65ch、登録局は30ch)
・総務省への免許申請が必要か否か(免許局は免許申請が必要、登録局は登録申請が必要)
・レンタルが可能か(免許局は免許人/法人のみ使用可、登録局は免許人以外も使用できレンタル可)
・レジャー用途は?(免許局は不可、登録局は可)
・防災用途は?(免許局も登録局も使用可)
“デジタル簡易無線は工場・プラント、警備業、建設業、物流センター・倉庫、イベント運営、スカイスポーツ、町内会・自治体・管理組合などの災害対策(BCP)などでよく使われ、またレジャーユースのニーズも多いようです
デジタル簡易無線免許局とは、
周波数帯467MHz帯467.00MHz~467.40MHzまで6.25kHz間隔65チャンネルを最大出力5Wとする無線局のこで、日本国内の陸上及び周辺海上で、「簡易な事項」の通信に使用できます。自動識別装置(ATIS)が必要です。
デジタル簡易無線登録局とは、
周波数351.16875MHz~351.19375MHzまで6.25kHz間隔の5チャンネルを最大1W、351.20MHz~351.38125MHzまで6.25kHz間隔の30チャンネルを最大出力5Wとする無線局の事で、日本国内の陸上及び周辺海上での通信に使用できます。自動識別装置(ATIS)は不要です。
免許局 | 登録局 | |
---|---|---|
通信距離 | 市街地1km以上、見通しがよければ5km以上 | 市街地1km以上、見通しがよければ5km以上 |
周波数 | アナログVHF:154.4500MHz~154.6100MHz簡易業務用無線(アナログVHF)周波数一覧デジタルVHF:154.44375MHz~154.55625MHzデジタル簡易無線(デジタルVHF)周波数一覧アナログUHF:465.0375MHz~465.1500MHz 468.5500MHz~468.8500MHzデジタル簡易無線(アナログUHF)周波数一覧デジタルUHF:467.0000MHz~467.4000MHz | デジタルUHF:陸上用351.2000MHz~351.38125MHz上空用351.16875MHz~351.19375MHz |
免 許 | 無線機1台ごとに申請式の免許が必要 | 免許不要 登録申請書・開設届の提出が必要 |
他名義の免許・登録の無線機との通話 | 違法 ※ただし異免許人間通信の認可を受ければ合法になります | 合法 |
チャンネル | VHF帯:デジタル19ch アナログ9ch UHF帯:デジタル65ch アナログ35ch ※一部アナログチャンネルもある機種がございます | UHF帯:デジタル30ch、上空用5ch |
アナログ簡易業務用無線機互換性 | あり ※一部のアナログ/デジタルの両方が入っている機種のみ、互換性あり | なし |
通信用途 | 業務用通信 | 業務用通信 レジャー用通信 |
レンタル | 違法 | 合法 |
電波利用料 (非課税) | 400円×局数/年 | 400円×局数/年 |
申請印紙代 (非課税) | 4W/5W:電子申請3,050円×局数紙申請4,250円×局数1W以下:電子申請2,550円×局数紙申請3,550円×局数 | 包括登録:電子申請2,150円紙申請2,900円個別登録:電子申請1,700円紙申請2,300円 |
デジタル簡易無線(登録局)について
トランシーバーなどの無線機を運用するには、基本的に、無線従事者の資格や無線局免許状が必要ですが、「業務に使用できる無線従事者が不要な無線局」として、上限5W(一部上限1W)の「簡易無線」が制度化されています。
簡易無線は、従来のアナログに加えデジタル方式の導入が進み、デジタル簡易無線に平成20年に登録制度が導入されたことから、利用形態等に応じて「免許局」、「登録局」を選択できるなど、より利用しやすくなっています。
登録局は、あらかじめ無線機器への一定の技術的条件や運用条件を課して事前審査を大幅に簡素化し、形式的な要件審査により無線局の開設を認めることとしています。(国内登録認定を受けた機種なら、面倒な書類審査もなく必要事項を記入した届け出だけで使用できます。)
また、登録局は、レンタルやレジャー使用、不特定の者との通信も合法としたほか、技術的には、「キャリアセンス(通信が行われている場合は送信ボタンを押しても電波が送信されない)機能」があります。
(無線局の区分) (免許局) (登録局)
周波数 | 154.44375~154.61254MHz | 467~467.4MHz | 351.2~351.38125MHz | 351.16875~ 351.19375MHz |
---|---|---|---|---|
チャンネル数 | 19ch+ 9ch(音声除く) | 65ch | 30ch | 5ch |
使用できる区域 | 全国の陸上 | 全国の陸上及び 日本周辺海域(*) | 全国の陸上及び 日本周辺海域(*) | 全国の陸上及び 日本周辺海域(*)ならびにそれらの上空 |
最大電力 | 5W | ← | 5W | 1W |
キャリアセンス | 不要 | ← | 要 | 要 |
レンタル使用 | 不可 | ← | 可 | 可 |
レジャー使用 | 不可 | ← | 可 | 可 |
不特定の者との通信 | 不可(免許人所属に限る) | ← | 可 | 可 |
個別登録の場合は、無線局を常置する場所を管轄する総合通信局等に、また、包括登録の場合は、申請者(登録人)の住所地を管轄する総合通信局等に申請します。
(新潟県、長野県の場合は信越総合通信局)
個別登録の場合
申請後、審査・登録・登録状交付 まで およそ15日です。
包括登録の場合
申請後、審査・登録・登録状交付 まで およそ15日です。登録状交付後無線局を開設し15日以内に開設届け出を行います。(レンタルの場合は「無線局開設届」提出後に「無線局の運用の特例に係る届出」を行います。)
有効期間は免許と同様、原則として5年間。登録後5年ごとに無線局再免許にあたる「再登録」が必要。
◇登録に必要な費用(申請手数料)
登録申請 | 再登録申請 | |
---|---|---|
個別登録 | 2,300円(1,700円) | 1,450円(1,050円) |
包括登録 | 2,900円(2,150円) | 1,850円(1,400円) |
◇運用に必要な電波利用料(年間)
個別登録 | 包括登録 | |
---|---|---|
デジタル簡易無線局 | 600円/局(台) | 450円/局(台) |
注 電波利用料は無線局開設届の届出後に納入告知書が送付され、銀行等で払い込みます。
◇申請様式等
登録申請書や開設届出書等は、ダウンロード(総務省 電波利用HP)から手続きできます。
◇無線局レンタルに当たっての注意事項
平成20年4月の電波法改正で、キャリアセンスが義務化されている登録局についてのみ、「登録人以外の者による運用」(レンタル)を可能としました。
免許制度による簡易無線局(免許局)は引き続き、アナログ及びデジタルともにレンタルはできません。
レンタルの場合は、「登録人以外の者による運用」と位置づけられるため、は事前・事後に手続きが必要となります。(レンタル業者の方で詳しく説明があります。)
事前手続き | 登録人は、あらかじめ、登録人以外の者に対し、「登録状に記載された事項」、「登録局の適正な運用方法」及び「使用者が遵守すべき法及び法に基づく命令並びにこれらに基づく処分の内容」について説明を行います。 |
---|---|
事後手続き | 登録人は、登録人以外の者が運用開始後、遅滞なく、「運用させた登録局の登録番号」、「登録人以外の者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名」、「登録人以外の者による運用の期間」、「無線設備の製造番号」について届け出ます。 |
初めから違法覚悟で無線を楽しみたい方は論外として、合法的に「無線ライフ」を楽しんでみたいという方は一度検討してみるのもよいでしょうね。
デジタル簡易無線登録局おすすめ機種。
アマゾンで人気の機種をご紹介します。
アルインコ 5W デジタルトランシーバー DJ-DPS70KA
出力はパワフルな5W、意外に良く飛ぶ2W、電池の持ちが良い1Wの切り替え式です。標準バッテリーなら最長3時間、大容量バッテリーでも4時間で充電できる急速充電器、アンテナ、バネ式のベルトクリップ、ハンドストラップまでついたオールインワンパッケージ。内蔵、外部、緊急呼び出しが個別に設定できるマイク感度とノイズキャンセル機能、大音量700mWのオーディオ出力、一般と拡張の2段階セットモード子機間通話禁止、200名の個別呼び出しと10グループのグループ呼び出し、PTTホールド、コールバック(自声モニター)、7段階のVOX感度、イヤホン断線検知、デュアルオペレーション、設定温度になると警告を発する温度センサーなど、業務ユーザー納得の多彩な機能が満載です。
八重洲無線 スタンダードホライゾン SR510 簡易業務用無線機 2.5W 登録局
使用周波数 351.20000~351.38125MHz(6.25kHz間隔、30波) 351.16875~351.19375MHz;上空用チャンネル (6.25kHz間隔、5波、受信のみ) 本体寸法 約W:54xH:88xD29.2mm(SBR-19LI装着時、突起物を含まず) 重量 約185g
標準型リチウムイオンバッテリー SBR-19LI ・急速充電器セット(ACアダプタ付属) ・スタビーアンテナ (SRA-12FS) ・ベルトクリップ ・アクセサリーコネクタ保護カバー ・取扱説明書/無線局登録申請書/無線局登録申請の手引き
F.R.C. エフ・アール・シー FIRSTCOM|5W 30ch デジタルトランシーバー:FC-D301A デジタル簡易無線登録局【充電器等付属】
デジタル30ch・上空5ch(受信専用上空用)。デジタルだから、雑音が少なく音質がクリアー ●周波数表示とSメーター(受信信号強度)機能搭載! ●5Wのハイパワー!長距離通信が可能 セカンドトークチャンネル機能 ●充電器付きだから経済的 ●録音機能/時計機能搭載 ●防塵・防水 IP67相当 ハンズフリー機能(VOX) ●32,767通りの秘話機能 ●送信出力出力切り替え・オートダウン機能 ●チャンネルスキャン機能 ●キーロック機能 511通りのユーザーコード ●バッテリーセーブ機能 ●送受信音質調整機能 ●通話開始 / 終話告知音 ●マイク感度設定 ●キー操作音設定 ●呼出チャンネル搭載|
ICOM IC-DPR100 車載用デジタル簡易無線機
資格・免許不要 デジタル簡易無線の規格「登録局」に対応。使用者の資格や無線局の免許は不要。かんたんな手続きだけで使えます。
IP無線
IP無線機とは、携帯電話のデータ回線を用いて通信を行なう無線機のことで、携帯電話のパケット通信網やWi-Fi無線網のパケット通信機能で音声を伝送して通話を行う仕組みです。
IPトランシーバーやPoCトランシーバー、LTEトランシーバーとも呼ばれますが、これらもIP無線機のことです。
従来の無線機では自身の電波で通信を行うため、電波の届く範囲内での通話しかできませんでしたが、IP無線機の場合はデータ回線を使用するため、通信範囲が格段に広く、障害物で電波が途切れるといった事態も回避できます。
多くのIP無線機はGPS機能を搭載することが可能です。
GPS機能を搭載することでIP無線機所持者の位置を特定しやすくなるので、指定位置への誘導がしやすくなったり現在位置の確認ができたりといった事が可能になります。
IP無線機には車載型もあり、瞬時に通信ができるため、よそ見による事故のリスクを減らしやすくなります。
なお、車載型トランシーバーは使用しても道路交通法に抵触しません。
道交法では、緊急時を除き停止しているときを除き片手で保持しなければいけない携帯電話や無線装置の使用が禁じられています。
もし、上記を違反した場合5万円以下の罰金が発生します。
しかし、車載型トランシーバーは手で持つ必要なく使用できるので、道交法に抵触することなく利用できます。
免許・登録申請が不要
IP無線機、は特定小電力トランシーバーと同じく免許や登録申請が不要となっております。
無線機は本来電波を直接飛ばして送受信を行う方法で通信を行っているのですが、この方法だと好き勝手な周波数で通信を行った場合、通信が困難になります。
そのため、日本をはじめ世界各国では電波法によって使用方法が定められているのです。
それに対し、IP無線機は携帯電話やWi-Fiのデータ回線を利用して通信を行うため上記のような問題が発生しません。
IP無線機を購入・使用するにあたって免許の取得や登録・申請が不要です。
IP無線機のデメリットとしては
- 毎月のコストがかかる(WiFiパケット通信料)
- まれに通信障害が起こる可能性がある
- 山岳地帯など一部のエリアでは通信できない
携帯電話との違い
IP無線機と携帯電話は、どちらも携帯電話の回線を用いて通話を行うようになっています。 では、この2つはどういった違いが有るのでしょうか。
複数人と一度に通話できる
IP無線機と携帯電話の違いの最たるものは、複数人と場所が違っていても同時に通話できるということです。
携帯電話で通話する場合、基本的に1対1ですが、IP無線機は全員と同時通話が可能、それぞれが全く別の場所にいても会話ができます。
リアルタイムでの通信が必要な場面では、IP無線機の方がタイムラグの少ないやり取りが可能です。
通話方法がシンプル
携帯電話の場合は、相手の電話番号を入力して通話する必要がありますが、IP無線機はボタンを一つ押すだけですぐに通話開始できます。
さらに、携帯電話の場合相手が通話ボタンを押してから通話が開始となりますが、IP無線機なら従来の無線機同様こちらから一方的に通信が可能です。
そのため、通信相手の手がふさがって応答できないときやリアルタイムで情報のやり取りをしたいときなどは素早く伝達が行なえます。
車移動しながらの連絡に
長距離トラックの運転の連絡において、IP無線機は極めて有効でしょう。
日本全国様々なところに荷物を輸送するトラックは、運転中ということもあり携帯電話での連絡には何かと制限があります。(道路交通法違反には注意しましょう。)
しかし、車載型のIP無線機なら運転中でも問題なく通話が可能です、更にGPSが搭載されていればトラブルが発生した場所の特定も素早く行えるのでトラブル対応がしやすくなります。
しかし、IP無線機は携帯電話やWi-Fiの回線を使用するため月々の経費が発生します、また携帯電話の電波が届かない場所やWiFiの届かなお場所ではIP無線機が使用できなくなる場合もあります。
アイコム・IP502H
アイコムのWithcall Biz(ウィズコールビズ)
それなら携帯でもいいじゃないか・・と思われるかもしれませんね。まあ、ひとそれぞれということで・・・。
トランシーバアプリ
簡単に無線局を開きたい・・との趣旨とは少し離れてしまいますが、わざわざ無線機を購入するのはちょっと・・・・という方は、こんなアプリがあるのも知っておいて損はないでしょう。
ネット回線を使って無料通話ができるのが、トランシーバーアプリです。
距離の制限がなく自由に使えて、チャットもできる。無線機と比べると低コストで導入・運用ができるのもポイントです。
日本語対応で操作が簡単なものを選ぶ
トランシーバーアプリは海外製のものが多く日本語に対応していないアプリが多いので、日本語に対応するアプリから選んでみましょう。(日本語に対応したアプリには『iシェアリング』などがあります。)
やはり無料で使えるもの
下記で紹介しているアプリは無料で利用できます、気になったものを使ってみてはどうでしょう。
有料のアプリを使うと、複数人と通信ができたり、Bluetooth機器のレンタルがセットになったプランを利用できたりします。
何度も聞き返せるアプリを選ぶ
トランシーバーアプリには、受信時の1度だけしか音声が再生されないタイプもありますので、騒音がひどい現場など繰り返し聞きたい時は繰り返し再生ができる物を選びましょう。
『Voxer』を使えば好きなときに音声を聞き返せるほか、再生速度の調整もできるため便利です。
iシェアリング – GPS 追跡アプリ(iシェアリングは iシェアリングは、リアルタイムでのGPS追跡サービスを提供するアプリ。子供や家族、友人の居場所がわかるアプリで、連絡を取り合うことも可能。)
Dingtone – WiFi Calling & Text
皆さんよくご存じのラインなんかも無料通話が便利ですね。
ひとこと
無線機を扱うには基本的に資格が必要ではありますが、昔のCB無線のようにわざわざ国家試験を受けなくても使用できる無線機器もあります、最近ではデジタル化された高品質なものが多数販売されています。いろいろ探してみるのも楽しいと思います。
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